これぞ欧州のザ・小型車! フォルクスワーゲンの新型SUV「T-Cross(ティークロス)」 は、売れる理由も納得の出来栄え。
VWの底力を見た
じつは、今回のT-Cross、排気量こそ従来型と同じだけれど、エンジンはあたらしくなっているそうだ。これがとてもいいエンジンで、低回転域からトルクがあり、アクセルペダルを踏み込んで回転が上がっていっても、よどみなく上まで回る。 3気筒独特のトルクの出方を考慮しつつ、ターボチャージャーの設定が上手なのだろう。1リッターでここまでやっちゃうのだから、VWの底力を見る思いだ。ポロやゴルフなどでVWを好きになったひとなら、一度あたらしいT-Crossを試してみることを勧めたいぐらい。 ボディサイズは全長が4140mmに抑えられている。それでいて、パッケージングはうまく、175cmが4人、楽勝で乗っていられる。乗り心地は快適だし、室内騒音のレベルも低い。さらに荷室容量は455リッターを確保。燃費はリッターあたり17.0km(WLTC)なので、荷物を積んで遠出のパートナーにも十分使える。これが欧州のザ・小型車なのだと感心してしまう。
豊富なオプションも魅力
さきにパッケージについて触れたように、あたらしいT-Crossには、いくつかのパッケージがオプションで用意されている。インフォテイメントと出力の高いオーディオシステムの「Dixcover Pro パッケージ」とか、レーンチェンジアシストを含む「セーフティパッケージ」などがある。 私がとくに気に入って、自分がT-Crossを入手したらぜったいに選ぶと決めているのが「デザインパッケージ(ミストラル)」だ。なにがいいって、内装の雰囲気。オフワイトとグレーを使い、ダッシュボードはオフホワイトのソフトパッド、シートは濃淡グレーの2トーンファブリックというぐあい。 コンパクトカーだけれど、作りも質感もかなり高い。それが「技術の民主化」といって、競合他社より低めの価格で、いいものを提供することに価値を置くVWらしい。価格もけっこうこなれていて、それこそ民主的な、VWの真骨頂といえるクルマなのだ。 価格は「TSIアクティブ」(329万9000円)を皮切りに、「TSIスタイル」(359万9000円)、それに「TSI R-Line」(389万5000円)。たとえば「セーフティパッケージ」は8万8000円、「デザインパッケージ」は9万9000円。 SPECIFICATIONS フォルクスワーゲン ティークロス スタイル|Volkswagen T-Cross Style ボディサイズ:全長4140×全幅1760×全高1580mm ホイールベース:2550mm 車両重量:1260kg 駆動方式:FF エンジン:直列3気筒DOHCターボ 総排気量:999cc 最高出力:85PS(116kW)/5500rpm 最大トルク:200Nm(20.4kgfm)/2000-3500rpm トランスミッション:7段AT(DSG) 燃費:17.0km/L(WLTC) 価格:359万9000円
文・写真= 小川フミオ 写真= フォルクスワーゲン ジャパン