なぜ38歳ドネアは4回鮮烈TKO勝利で復活のWBC王座獲得に成功したのか…「井上尚弥と再戦するために勝ちたかった」
プロボクシングのWBC世界バンタム級タイトルマッチが29日(日本時間30日)、米国ロサンゼルス郊外のカーソンで行われ、王者のノルディーヌ・ウバーリ(34.フランス)が挑戦者の元5階級制覇王者、ノニト・ドネア(38、フィリピン)に4回1分52秒TKOで敗れた。ドネアは3回に左フックのカウンターで2度ダウン奪うと4回に右ストレートから左アッパーのコンビネーションでキャンバスに沈めた。バンタム級では最年長での王座獲得となったドネアは2019年11月にさいたまスーパーアリーナで行われたWBSS決勝で、現WBA世界同級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(28、大橋)と対戦しダウンを奪われ判定負けを喫していた。ドネアは、試合後、リング上で井上との再戦実現をアピ―ルした。ドネアは41勝(27KO)6敗。一方のウバーリは18戦目で初の黒星となった。
“伝家の宝刀”左フックで2度のダウンを奪う
これが38歳のボクサーなのか。ドネアの鮮烈の左フックのカウンターがロス郊外カーソンの地で光った。 3ラウンド。プレスをかけておいてウバーリが左のアッパーを繰り出すと同時に左フックをピンポイントで顎に炊き込んだ。崩れるようにして王者がダウン。ウバーリは立ち上がったが、もう足にきていた。ウバーリの動作が鈍くなる。 ラウンド終了のゴングとほぼ同時に2発目の左フック。コーナーでウバーリは倒れた。レフェリーはダウンを有効と認めてカウントを取った。ウバーリは、執念を見せて立ち上がったが、レフェリーはダメージを確認するために少し歩かせた。試合続行を決断したが、鳴らされたゴングを「試合ストップと」勘違いしたウバーリが抗議するシーンもあった。 だが、もう時間の問題だった。 4ラウンド。ドネアは冷静にチャンスをうかがう。ロープを背負わせたところで右ストレートから左アッパーの威力十分のコンビネーションブローをお見舞いするとウバーリは腰から落ちた。まだレフェリーはカウントの途中だったが、ドネアは両手を突き上げて喜びを表現していた。 「9度だ。私はこれで9度目の世界王者となったんだ」 ドネアが何度も吠えた。 「ウバーリのパターンはわかっていた。セコンドからは『おまえは距離がとれるから大丈夫だ』と言われていた。だから大丈夫だ(勝てる)と思っていた。それで彼の弱さが出た時にたたみかけることができたんだ」