ECB、利下げ遅らせれば「遅くて性急な」行動必要に-パネッタ氏
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は、利下げを遅らせれば後の段階でより思い切った行動を取らざるを得なくなると、政策委員会メンバーのパネッタ・イタリア中銀総裁が主張した。
パネッタ氏はローマでの年次講演で、借り入れコストの着実な低下は景気への抑制を終わらせるものではないと指摘。また、当局は米連邦準備制度理事会(FRB)との乖離(かいり)を恐れるべきではないとの考えを示した。
「政策金利が何回か引き下げられたとしても、金融政策スタンスは引き締まったままだ。政策金利引き下げの道筋を決める際には、遅くて性急なアプローチよりも、速やかで漸進的な行動の方がマクロ経済の変動を抑えられることを念頭に置くべきでだ」と語った。
ECBは、最後の利上げから約9カ月後となる来週、利下げを開始すると見込まれている。当局者らは最初の1回については同意しているが、その後の引き下げ速度についてはすでに議論が始まっている。
ハト派的なメンバーの一人であるパネッタ氏の発言は、ためらいながらの行動よりも規則的な行動が望ましいとの考えを示唆する。投資家は現在、今年中に少なくとも2回の0.25ポイント利下げを想定し、3回目もあるとの見方に傾いている。
パネッタ総裁は、どのような動きも景気刺激的にはならないと強調。政策が「過度に引き締まり」インフレ率が目標を下回るのを防ぐために景気抑制の度合いを弱めるだけだと述べた。
「今後数カ月の間に入ってくるデータが現在の予想と一致すれば、金融緩和が適切になるだろう。これは、物価安定を回復するための行動を止めるものではない」と語った。
パネッタ氏はまた、ECBにはFRBの高金利長期化路線から外れる自由があると強調。FRBとECBの政策格差がユーロ安を招く可能性があるとした上で、米国の引き締め政策が世界的な需要、資金調達環境、ユーロ圏のインフレ率に悪影響を及ぼすと指摘した。
「FRBの決定は考慮すべき要素であって、制約ではない」と述べた。