「お前って淫乱なのか?」いじめ加害者に交際している彼女を”生贄”として差し出した、最悪な彼氏が言い放った「最低すぎる一言」
産婦人科で駆け寄った助産師
「娘は淡々と一部始終を話してくれました。聞いているだけで私は心臓がつぶれそうで、息苦しくなったくらい悲惨な内容だったにもかかわらず…です。娘の口調はすべてを諦めていたようでした」 「自分可愛さに付き合っている彼女を生贄にするなんて許さない!警察に行こう!」と取り乱す松永さんを「ママ、やめて」と和香さんがたしなめる。 「娘は『そんなことしたらSが逮捕されちゃう。私が犠牲になって済むのだったら、それでいいのよ』と言いだしました。『ずっと私はSを助けたいと思っていたから、それが叶ったと考えればいいじゃない』と…」 健気すぎる和香さんの思いを酌んだ松永さんは警察に駆け込むことを保留し、和香さんを知り合いの産婦人科に連れて行った。 「娘が生まれた病院です。『念のため』とお願いしていた診断書には、『裂傷』や『損傷』といった文字が並び、娘の身に何が起きたのかは一目瞭然でした」 こらえきれずロビーで泣き崩れる松永さんのところに19年前、和香さんを取り上げてくれた助産師が駆け寄って来た。 「娘の身に起こったことを知ったのでしょう。彼女は私の背中を撫でながら、一緒に泣いてくれました。私は娘が生まれた時の光景を思い出しながら『こんな思いをさせるために産んだわけじゃない』と彼女にすがって泣きじゃくりました」
「お前って淫乱なんじゃないのか?」
事件後、和香さんが無理をしながら笑顔を振りまき、「なかったことに」して生活しようとしている気持ちを慮り、事件のことは一切口にせず生活をリスタートさせたというが、「アフターピルを病院で処方して貰っていましたが、娘に生理が来るまでハラハラした」という。 一方で、その後もS君と和香さんの交際は続いたという。 加害少年たちとS君が友好的な関係になることはなかったが、いじめだけは完全に無くなり、それにつられるかのように、周囲もS君と打ち解けるようになって行った。 「S君は徐々に昔の明るさを取り戻し、娘もそれを喜んでいたようです。一生取り返しがつかないのではないか、と思われた娘の心と身体の傷も少しずつ癒されて行っているように見えました。やりきれない気持ちはありましたが、少なくとも娘が自分のことを<性加害を受けた被害者である>と貶めずにいられたら、それでいいと自分にも言い聞かせていました」 複雑な思いを抱えながらも和香さんとS君を見守っていた松永さんに、和香さんの口から衝撃の事実が伝えられる。それは、S君とは「別れた」という報告だった。 「事件の後、娘はS君の前で何事もなかったかのように努めて明るく振舞っていたのですが、S君はそんな娘のことをずっと腫れ物に触るような感じだったようで、ふたりはずっとよそよそしいままだったのです」 手を繋いだり、軽くハグをする…以前は当たり前だったスキンシップすら介在しなくなったふたり。 「自分の性体験を上書きしたかった娘は、そんな状況に焦りと不安を感じてS君のぬくもりを求めたようです」 ところがS君は、最低な一言を言い放って激しく拒んだという。 「S君は『俺に先輩たちと同じようなことをしろって言うのか!!』と娘を怒鳴りつけただけでなく、追い打ちをかけるように『お前って淫乱なんじゃないのか?』と娘を蔑んだあと、『悪いけど、もう無理。別れよう』と言い出したそうです」