10秒08で日本選手権の男子100mを3年ぶりに制したサニブラウンは進化しているのか…「自分は弱い」と発言
「昔に戻っちゃいけないので、前に進まないとって感じですね」 陸上関係者を何度も驚かせてきたサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が帰ってきた。日本選手権の男子100m。サニブラウンは最初のラウンドから格の違いを見せつけた。 予選5組は10秒11(±0)で後続に0秒24以上の大差をつける。準決勝3組はスタートで出遅れたものの、大きなストライドでグングンと加速。オレゴン世界選手権の参加標準記録(10秒05)を突破する10秒04(+0.8)をマークした。 大会前まで日本の男子100mは誰も参加標準記録に届かず、重い空気が漂っていた。それを軽々と打ち破ったのだ。 「まずまずですね。ここで満足しても何もならない。しっかりとやることをやればタイムも出ると思うので、決勝は悔いが残らないように全力を出し切りたい」といつも通りの飄々とした態度を崩さなかった。 サニブラウンにとって世界大会の参加標準記録はたいした壁ではなかったようだ。 今季、東京五輪の男子4×100mリレーメンバーは精彩を欠いていた。男子100mの日本記録保持者・山縣亮太(セイコー)は右膝を昨年10月に手術したこともあり、日本選手権の出場を見送った。桐生祥秀(日本生命)と多田修平(住友電工)はケガの影響があり、ともにセイコーゴールデングランプリを欠場。日本選手権では、桐生がプラスで拾われて決勝に進出するも、前回王者・多田は準決勝で敗退した。小池祐貴(住友電工)は準決勝1組を10秒13(+0.5)で1着通過したが、参加標準記録に近づくことはできなかった。 サニブラウンは決勝で3位以内に入ればオレゴン世界選手権の日本代表が内定する。最終ラウンドはスタートが得意な坂井隆一郎(大阪ガス)が飛び出す展開になった。隣のサニブラウンは大きく出遅れたが、終盤に逆転。10秒08(+1.1)で3年ぶり3度目の 優勝を飾った。坂井が自己ベストの10秒10で2位、18歳の柳田大輝(東洋大)が10秒19で3位。小池は4位、桐生は6位に終わった。