10秒08で日本選手権の男子100mを3年ぶりに制したサニブラウンは進化しているのか…「自分は弱い」と発言
サニブラウンが目指しているものは高い。そして天賦の才もある。 世界選手権は2015年北京大会に高校2年生だった16歳で初出場。2017年ロンドン大会は100mで予選を突破すると、200mではウサイン・ボルト(ジャマイカ)が保持していた記録を塗り替えて史上最年少(18歳5か月)で決勝に進出した。同年9月には米国・フ ロリダ大に進学。2019年には100mで9秒97の日本記録(当時)、200mでは日本歴代2位の20秒08をマークすると、11月にはプロに転向している。 この2年間はケガもあり、苦しんできたが、再び前に進み出した。 「去年は歩くだけで神経痛がひどかったので、今年は本当に難なくできているのが幸せです。ここまでものすごく長かったなという感じがしますけど、ここで終わりじゃないので、たくさん経験して成長して、過去の自分よりもっと凄い選手になれればなと思います」 3年ぶりに日本選手権を制したとはいえ、数字上の成長はない。9秒台を出していた頃から進化している部分はあるのか? という筆者の質問にはこう答えた。 「そうですね。10秒0で走ろうが、9秒9で走ろうが、あんまり体感的には変わらない。真の壁は9秒90かなと思いますね。9秒9台で走る人はたくさんいますけど、9秒8台はほとんどいない。9秒7~8の選手と練習していて違いを感じますし、いろんなことを質問して学びながらやってきています。自分もジリジリと力をつけて近づけていければなという感じです」 サニブラウンは進化した部分を言葉にしなかったが、進化できそうな雰囲気を感じとっているようだった。 オレゴン世界選手権の目標については、「走り自体は悪くないので、あとはメンタル面かなっていう感じです」と具体的なことは口にしなかった。しかし、4度目となる世界選手権では100mだけでなく、男子4×100mリレーでもエースとしての役割が期待される。 10代の頃には「世界記録を出したい」と豪語していたサニブラウン。そんな夢物語に”本気”で向かって行ってほしい。 (文責・酒井政人/スポーツライター)