50代で専業主婦からマンションコンシェルジュに。子どもが巣立って人生初の一人暮らしに挑戦
子ども中心の生活を終え、自分の時間がたっぷりある状況に驚き
――初の一人暮らしになって、実感したことは? 正直なところ、孤独と不安は大きいです。一軒家なので、寝ている時に何か音がしたりすると、気になって眠れなくなるし。最近怖い犯罪も多いですしね。でも同時にすごく気楽で自由になった感もある。結婚する前は、私は一人っ子だったこともあり、一人で行動することが多く、好きでした。だから、忘れていた感覚が戻ってきたような感じです。 そしてもっとも感じるのは、自分の時間ってこんなにたくさんあるんだってこと。結婚して以来、専業主婦として子ども中心の生活をして、子供が社会人になっても、精神的に子ども中心の生活に慣れていたので、自分の時間がたっぷりある状況に驚いています。 また、私は50代からマンションのコンシェルジュのパートをしており、一人暮らしになってからは、お金がいただけることに加え、居場所があることがすごくありがたく感じます。一人だと生活が単調になりやすいので、通勤があるのも生活にリズムがついていいなと改めて思いますね。 ――生活で変わったところは? 週に数回パートに出る日々は変わっていないし、家事の負担もそんなに変わりませんが、大きいのは娘の送迎がなくなったことです。うちは、電車の駅が遠くてバスも少ないため車の移動が中心で、娘の送迎も基本的にしていたんですね。学生時代の塾の送り迎えから続いて、社会人になってからは帰りが遅いとなおさらバスがないし、タクシーも少ない。なので夜遅い娘の帰宅に合わせて駅まで迎えにいっていました。 特に大変とも思っていなかったのですが、運転がすむまでは、夜は呑めません(笑)。どうせなら、ごはんは娘と一緒にと思うので、夕食もかなり遅くなっていたのですが、今は、時間を気にせず、一人でテレビ番組の録画や「推し」の番組などを観ながら、晩酌しながらごはんを食べています。 娘は好き嫌いが多かったので、一人になってからは自分が好きなものを作って好きなように食べています。おいしさの観点から、お料理の作り置きはしなかったんですが、一人分の料理は材料が余ってしまうこともあり、作り置きにならざるをえないことも、実感しました。 また、愛犬がいた時は、毎日必ず散歩に出て、歩く時間がありました。が、亡くなって以来歩く頻度が減ったので、天気がいい時に、海辺までひとりで散歩しながらウォーキングはするようにしています。 *** 一人暮らしの不安を抱えながらも、「推し」の存在や50代から始めたマンションコンシェルジュの仕事が生活にハリを与えてくれると語る、佐藤さん。後編では、子どもたちが自立し、一人暮らしになってからチャレンジした初めての一人旅についてお話を伺います。 取材・文/田中亜紀子
@DIME編集部