今日運命のW杯最終予選…雨予報の「勝てば決定。負ければ3位転落」の豪州戦に森保ジャパンは勝てるのか?
森保一監督の慎重な性格を考えれば、システムを4-2-3-1から4-3-3に変えた、昨年10月のオーストラリア戦から始まった5連勝の流れを継続させるだろう。 そのなかで先のシリーズで、ともに後半途中から大迫に代わって3トップの真ん中を務めたFW前田大然(24、セルティック)もコンディション不良で辞退した。 現状では上田綺世(23、鹿島アントラーズ)と追加招集された林大地(24、シントトロイデン)に加えて浅野拓磨(27、ボーフム)と、さらにこれまで左ウイングを務めてきた南野拓実(27、リバプール)が真ん中を担えるアタッカーとなる。 しかし、上田はアジア最終予選で出場歴がなく、林は今回が初招集となる。2月のサウジアラビア戦で最終予選初ゴールを決めるなど、相対的に存在感が増してくる南野は「任されたポジションで、チームに貢献していきたい」と大一番をみすえた。 「自分の経験上、勝てば決まるという試合は堅い展開になるし、実際、いままでの最終予選とは違う緊張感も感じている。それでも自分たちには競り勝ってきた自信もあるので、最後は気持ちの強さが一番重要になる。明日で決められれば僕が見てきたような歴史に残る一戦になると思うので、このチームで成し遂げられればと思う」 南野が言及した「歴史に残る」とは、2014年のブラジル、2018年のロシア両大会への出場を、ともにオーストラリアとのアジア最終予選で決めた軌跡を指す。 オーストラリアとの対戦成績は日本が10勝9分け7敗と勝ち越し、直近の7試合に限れば4勝3分けと日本が無敗を継続している。しかし、ザックジャパンとハリルジャパンがワールドカップ出場を決めた舞台はともに埼玉スタジアムであり、アウェイでのアジア最終予選に限れば2分け1敗と一転して未勝利となっている。 会場となるスタジアム・オーストラリアは、2015年1月のアジアカップ準々決勝でPK戦の末にUAE(アラブ首長国連邦)代表に敗れ、連覇を絶たれたトラウマが残る。そこへ雨という気象条件と、オーストラリアを取り巻くネガティブな状況が加わる。 故障者とコロナ禍に見舞われたオーストラリアは、前回の日本戦で先発した11人のうち実に5人を欠く非常事態に直面している。さらにコロナ陽性で隔離中のグラハム・アーノルド監督が外出する違反を犯して罰金を科された。 4勝3分け1敗となかなか波に乗れないアジア最終予選で、チームそのものにも批判が集中している。文字通りのどん底にあえいでいるからこそ、どのようなメンバー構成で、どのような戦法に打って出てくるのかが読みにくい状況にある。 だからこそ吉田と遠藤が強調したように、ピッチに立った選手たちがそれぞれの感性を働かせながら自分たちで判断を繰り返す、まさに自立した戦いが求められる。 序盤で1勝2敗と出遅れながら、システム変更を介して巻き返しに転じて達成した5連勝。特に前回シリーズは吉田と冨安健洋(23、アーセナル)の両センターバックを故障で欠きながら、谷口彰悟(30、川崎フロンターレ)と板倉滉(25、シャルケ)が2人の不在を補ってあまりある存在感を最終ラインで放ち続けた。 今回も冨安は選外となり、前述したように大迫や酒井、前田もいない。自身と冨安が不在だった前回シリーズで「いい意味での緊張感が増した」と、ポジティブに受け止めている吉田は、チャンスを得た選手たちが活躍する好循環が続く先をこう位置づけた。 「シドニーでの苦い思い出を、いい思い出に変えたいですね。苦しかった予選を乗り越えてきたけど、まだ何もつかみ取っていない。つかみ取るまで戦いたい」 運命の大一番のキックオフは日本時間の午後6時10分。通常なら前日までに発表される背番号は、ベンチ外となる3人の名前がわかり、ひいては日本の戦い方までが相手に伝わりかねないという理由で、メンバー発表まで公表しない予定になっている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)