日本の大企業も広告出稿!日本人が知らない「在住外国人向けメディア」調べてわかった奥深い世界
「もともと外国人と仕事をするというイメージはなかったんですよ。ブラジルと言われてもサッカーとサンバくらいしかわからなくて」 そう語るのは専務取締役の川上清一さん。会長の鶴の一声で「アルテルナチーバ」に出稿し、ブラジル人を募ることになったが、始めてみれば彼らの根気強さに驚かされた。 「工場などの現場では日本人従業員は早く辞めてしまうことが多いのですが、ブラジル人は残ってくれて、長く働いてくれるんです」(川上さん)
だからいつの間にか、外国人材を扱うほうが多くなっていった。「アルテルナチーバ」にも20年近く広告を出している。つまりはブラジル人の企業とビジネスを、金銭のやり取りを続けているわけだが、 「いまではうちの締め・支払い日に合わせてくれているし、そこは信頼関係があると思います」 と川上さんは言う。外国人を相手に商いをすることについて、とくに不安は感じていない。 さらにユタカは、ほかにもたくさんのエスニックメディアに広告を出してきた。タイ語、タガログ語、スペイン語……ウェブ版に移行したリ廃刊したものも多いが、それでもこれだけ多くの外国語の媒体が日本で発行されている。そして日本人から見れば、外国人社会というマーケットに直接アプローチできる窓口でもあるわけだ。
ユタカではエスニックメディアを通じて募集した人材を工場などの職場に斡旋するだけでなく、日本の習慣や日本語に不慣れな人であれば引っ越しの手伝いや買い物、病気のときの世話まで、生活のこまごまとした相談にも乗る。 「派遣業はよく『中間搾取じゃないか』なんて言われますが、派遣先の企業ではやらないケアまで含めて面倒をみるのも仕事なんです」 こうして外国人を相手にビジネスを続けるうちに、いつの間にやら社員もブラジル人、フィリピン人、ベトナム人と多国籍になってきた。いまでは社員の7割が外国人スタッフで、事業所によってはまるごと外国人に任せているところもある。みんな日本語がわかるとはいえ文化の違いから困ることはないのだろうか。