多発する冬山遭難 遭難は「出発前」の自宅から始まっている?
長野県と新潟県で17日以降、雪崩などによるスキー、スノーボードの遭難で4人が死亡。その後も遭難寸前での救出や新たな捜索願が相次いでいます。また、長野県警の山岳遭難発生状況・週報によると、1月1日から12日までの間に後立山、八ケ岳連峰などで早くも昨年同期より1件多い7件の山岳遭難も発生。死者はないものの負傷者4人を含む8人が遭難しました。雪山の遭難はなぜ減らないのか、山やスキー場に入るための準備や心構えは何か、登山・遭難対策の専門家の分析も混じえ考えます。 【動画解説】冬山登山の魅力と遭難しないための心得
昨年は長野県で301人が遭難
17日から18日にかけて新潟県妙高市の粟立山(あわだちやま・1194メートル)と同市内のスキー場、さらに長野県山ノ内町のスキー場でスキー、スノーボードの男性合わせて5人が相次ぎ雪崩に遭い、4人が死亡しました。18日には長野県の野沢温泉スキー場でスノーボードの外国人を含む男性2人の連絡が取れなくなり、捜索の結果無事救出されました。19日には長野県北安曇郡で山スキーに出かけた名古屋市などの男性3人が下山予定に帰宅しておらず、捜索が始まっています。 妙高市と山ノ内町、野沢温泉のスキー場の事故はスキー場のコース外で雪崩に遭ったり転落したと見られています。ゲレンデや所定のコースからはずれて立ち入り禁止区域の新雪を求めて入り込んで遭難するケースはこれまでも各地で多発。登山のように食料や非常装備を持たないままコース外に気軽に踏み出す無謀な行動は問題になっていました。 さらに野沢温泉スキー場で救出された1人に加え山ノ内町のスキー場で死亡した2人も外国人。最近は国内のスキー場や山岳を訪れる外国人が急増しており、安全のための案内や指導をどう徹底するかも課題になっています。 北アルプスなど国内でも主要な山岳を擁する長野県の山岳遭難件数は、警察庁のまとめで平成23年の場合227件と抜きん出ての全国トップ。北海道138件、富山県116件と続きます。長野県警の統計によると、平成26(2014)年の長野県の遭難発生件数はさらに増えて272件、遭難者は301人に上り、46人が死亡、148人が負傷、5人が行方不明になりました。特に救助活動も困難になる冬山やスキー場のコース外の遭難は生命の危険を一層増します。