屋良朝幸&中川晃教の“名バディ”再び! 伝説のミュージカル『SONG WRITERS』から始まったふたりの絆
作詞家・森雪之丞と、俳優にして演出家でもある岸谷五朗がタッグを組み創作、2013年に初演された『SONG WRITERS』。日本発のオリジナルミュージカルの傑作として、いまや伝説と化しているこの作品が、2015年の再演を経て約10年ぶりに帰ってくる! しかも主人公の幼馴染ふたりには、初演・再演時も大いに沸かせた、屋良朝幸と中川晃教が続投! 三たび“名バディ”エディ&ピーターに扮する屋良と中川に話を聞いた。 【全ての写真】屋良朝幸&中川晃教の撮り下ろしカット
初対面は『Endless SHOCK』の幕間で
――『SONG WRITERS』と言えば、屋良さんと中川さんの名バディぶりも話題になった、伝説のミュージカル。2013年の初演時がおふたりの初共演でしたね。初対面の時のことを覚えていますか? 屋良 俺が出演していた『Endless SHOCK』の楽屋に来てくれたんだよね? 中川 しかも1幕と2幕の間の休憩時間だった(笑)。 屋良 そうそう!「中川さん来ます」と言われて「嘘でしょ!?」と思った(笑)。 中川 たしか、終演後は化粧落としたりするので慌ただしいから幕間に……と誰かが気を遣った結果、そうなったんだよ。僕はあの時が初・SHOCKだったから、公演自体「すごー……」と思って観てたし、その中で屋良っちがすごくカッコ良くて。何て言うのかな……、僕たち比較的小柄じゃないですか。屋良っちを見て、そこがいいなと思ったの。つまり、大きい人たちをバックに従えて「お前らと俺は違うんだ!」という気迫を感じて、また役もちょっとそういう感じの役だったし。自分を投影して見てしまったんだよね。でもそもそも、屋良っちに関しては前情報がすごくて。「とにかくすごい人だから」って。 屋良 ほんとにやめてほしい……(苦笑)。
お互いの魅力は「唯一無二」(中川)「自分にないものがある人」(屋良)
中川 アイドルの人たちって、僕らよりずっとレスポンスの速さを求められる世界に生きていて、そのヒリヒリハラハラなところすら、カッコいいとお客さんに思わせる人たち。表現者としてトップオブトップだと思ってるんです。その中でも同い年のほかの人とは何かが違ったし、屋良っちがまわりから一目置かれているというのは、実際に会って「なるほどね」と思った。クリエイターっぽいところも持ち合わせているけれど、やっぱりアイドルであることを大事にしている。……で、「なんでこの人が、俺と一緒にシアタークリエでオリジナルミュージカルをやろうと思ってくれたんだろう」「もしかしたらここからまたさらなる新しい場所を見つけていきたいのかな、きっと野心があるんじゃないかな」と感じたのが、最初の印象でした。 屋良 俺は……、緊張してた。 中川 そんな風には見えなかったけど(笑)。 屋良 いや、緊張するでしょう(笑)。でも今話していて思い出したけど、2012年のシアタークリエ公演『道化の瞳』が初単独主演だったんだけど、この時、すぐには(前所属)事務所からGOが出なかったんだよね。今でこそ舞台をやっている人も多いけど、その頃は事務所外の舞台公演に出る人はほとんどいなかった。自分がこの道を進まないと、後ろに道が出来ないなと思ってかなり頑張って説得したんです。 ――なんと。事務所から「次はこの舞台です」と来たお仕事なのではなく、屋良さんの方が熱意を持って舞台をやりたいと言ったんですね……! 屋良 そうなんです。『SONG WRITERS』もそうだったけど、『道化の瞳』はGOが出るまで1ヵ月くらい毎日話し合った。ここを切り拓かないと未来がないなと思って。でも『SONG WRITERS』は、最初にアッキーの名前を聞いて「ちょっと待って、俺は対等に並び立てるレベルじゃないよ」と思ったのも事実です。アッキーのことはアーティストとしてキャリアをスタートされたのも知ってたし、舞台に出た時は「俳優もやるんだ」と思ったし、帝劇で『モーツァルト!』も観ていますから。ずっとすごい人だと認識してた。でも俺がミュージカル界のトップの人とご一緒できる環境があるんだったら、やるべきだと思ってチャレンジしたんです。 中川 へぇ~。 屋良 『SONG WRITERS』はおかげさまでとても評判が良かったし、たぶんここから色々と流れが変わったんだよね。事務所の中で“演劇・ミュージカル”との向き合い方が。 ――いいお話です。そしてその初演から11年、おふたりは交友を深めていらっしゃるようですが、お互いのパフォーマーとしての魅力はどう見ていますか? 中川 唯一無二だと思います。常に新しいクリエーションを続け、一方でアイドルという肩書で求められる自分、その両方をひとつの額縁の中で成立させている人ってほかになかなか思い浮かばない。同じように堂本光一さんという方はアイドルでありながら後輩たちのことも考え、未来を見つめてエンターテインメントに取り組んでいらっしゃる。その光一さんが屋良っちのことを可愛がってたと聞いて、やっぱりなと思った。 屋良 光一くんもだけど、自分の中では少年隊の存在が大きいかな。あの方たちが、アイドルと舞台の垣根を超えてエンターテインメントというものに向き合ってきたパイオニアだと思う。もちろんダンスも歌もホンモノだし。それを間近で見てきたので、自分がやってることは自分にとっては“普通”なんだよね。振付とかを後輩に教えたりするから、少し特殊な部分もあったかもしれないけど。 中川 なるほどねー。 屋良 俺から見たアッキーは“自分にないものがある人”。歌声の素晴らしさはもちろんなんだけど、芝居へのアプローチもそう。俺はずっと、時間のない中で「理解できていなくてもとりあえず進める」ということを求められる世界で生きていて、良くも悪くも“それっぽく見せる”技が身についてしまったんだよね。 中川 それ、何て言うの? 屋良 え? 中川 今後のトークで使えるから言語化しといた方がいいよ(笑)! 屋良 (笑)。なんだろう、“臨機応変病”(笑)? 振付がわからなくなっても適当に踊ってごまかせる、みたいな。でもアッキーはわからないことを、わからないままにしておかないよね。一度止まって「ここは何ですか、どういうことですか」と一つひとつ解読していく。その姿勢が自分と真逆で、でも物事を真摯に創るってそういうことだなと思った。 “臨機応変病”はある意味武器だと思っていたけれど、外の世界じゃ通用しないんだ、これは自分の薄っぺらさだと感じた。これはその後、(岸谷)五朗さんがきちんと指摘してくださったけれど、実はその前にすでにアッキーを見て自分の中では感じていたし、その強さをしっかり持って戦っている同世代として俺はアッキーに憧れました。 中川 確かに真逆かもね、僕たちのアプローチは。 屋良 俺はわからなくてもなんとなく形にして通過しちゃうところに、アッキーは素直に引っ掛かれるんだよね。でもたしかにそうしないと、深められない。そういう、表現者としての気付き含め『SONG WRITERS』は自分の中で転機となった作品です。