センバツ2024 活躍、努力の先にある 京都外大西・山添啓史部長 /京都
◇「控え」だった夏、経験伝える 高校3年だった2005年夏、暑さと熱気がみなぎる甲子園のアルプス席で、メガホンを手に仲間たちに声援を送った。全国から勝ち上がった2校だけが立てる決勝の舞台。チームはその年、優勝は逃したが見事に準優勝を果たした。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち あれから19年。山添啓史さん(36)は母校、京都外大西高の野球部部長として、14年ぶりに大舞台に出場する後輩たちを指導している。「一生懸命やってきたことは必ずその先につながる」 19年前、自身は「控え」だった。バッティングの練習ができない。ノックを受けられない。当時、野球部員は100人を超えており、そんなことも度々あった。それでも、「自分なりに一生懸命野球をやっていた」と振り返る。部員全員で取り組むトレーニングや走り込みの練習では、誰にも負けないよう懸命にアピールした。 3年間、それでも背番号をもらうことはなかった。だが、「自分なりにやりきった。これだけやったなら、しょうがない」。心からそう思えた。気持ちを切り替え、対戦相手のデータ分析に積極的に取り組んだ。試合ではグラウンドでプレーはしないものの、分析データはチームの大きな戦力になった。 「その先」とは。「社会に出て活躍する人って、必ずしも試合に出ている人やベンチに入っている人だけじゃないですよね」。10年に野球部コーチに就任して以来、後輩たちには「努力することの大事さ」を自身の経験からも伝えてきた。 大舞台の初戦は20日。グラウンドに立つ部員、そしてアルプス席から声援を送る部員、チーム一丸となって昨春の優勝校、山梨学院(山梨)に挑む。【水谷怜央那】 〔京都版〕