新トレンド“カウボーイ・コア”の実態 ビヨンセの新アルバムやファレルの「ルイ・ヴィトン」など多様化するウエスタン文化
例えば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の24-25年秋冬のメンズ・コレクションで、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)は、彼の前任者であるヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)と同様に、初期のカウボーイたちにインスピレーションを受け、ハイエンドな職人技でウエスタン風のショーケースを作り上げた。ショーのバックステージでウィリアムスは「カウボーイを描くとき、現代ではいくつかの類型しかないように思う。カウボーイは元来、さまざまな姿をしていたが、そのように描かれることはあまりない。彼らは私たちにも、私にも似ている。黒人にも、ネイティブ・アメリカンにも見える」と米「WWD」に語った。
「ティンバーランド(TIMBERLAND)」は2月に家族経営のコミュニティー組織であるオクラホマ・カウボーイズ(Oklahoma Cowboys)を起用したキャンペーンを行った。また、21年の「レッドウィング(RED WING)」のキャンペーンでは、馬の調教師であるエリン・ブラウン(Erin Brown)、別名 "コンクリート・カウガール"とフィラデルフィアのアーバン・ライディング・コミュニティーのメンバーが共演した。そして「ツイステッドエックス(TWISTED X)」のブランドアンバサダーの1人は20年にタイダウンローピングで優勝し3人目の黒人ロデオ世界チャンピオン、シャド "マネー "メイフィールド(Shad “Money” Mayfield)が務めている。
こうしたウエスタンスタイルの多様化は、カントリーミュージック界にも影響を及ぼしているとオーエンズは指摘する。「8~10年前は田舎っぽい印象だったのが、今では最も包括的な音楽ジャンルのひとつになっている」とオーウェンズ。19年にリル・ナスX(Lil Nas X)とビリー・レイ・サイラス(Billy Ray Cyrus)がコラボした「オールド・タウン・ロード(Old Town Road)」や、トレイシー・チャップマン(Tracy Chapman)がルーク・コムズ(Luke Combs)と24年グラミー賞授賞式で「ファーストカー(Fast Car)」を演奏したことなど、「今はジャンル間のクロスオーバーがとても多い」と付け加えた。また、チャップマンは、23年のカントリー・ミュージック・アソシエーション・アワードで、黒人アーティストとして初めてソング・オブ・ザ・イヤーを受賞し、歴史にも名を刻んでいる。