【MLB】トレード・デッドラインの勝者はカージナルス 米公式サイトが選出 ほぼダメージなしで補強に成功
日本時間7月31日、MLBは2024年シーズンのトレード・デッドラインを迎えた。狙い通りの補強に成功したチームもあれば、なかなか思うように補強が進まなかったチームもあるが、米公式サイト「MLB.com」のウィル・レイッチ記者は「買い手」に回ったチームのなかからトレード・デッドラインの「勝者」として7チームを選出。そのなかでも最大の「勝者」としてカージナルスを挙げた。現有戦力がほとんどダメージを受けることなく、補強ポイントに合致する選手の獲得を実現したことが高く評価された格好だ。 カージナルスが今夏のトレード・デッドラインで成立させた取引は2件。1つ目はドジャースとホワイトソックスを巻き込んだ三角トレード、2つ目はレイズとの1対1の交換トレードだった。カージナルスは「計算できる先発投手」、「ブルペンに厚みを加える救援投手」、「左腕に強い右打者」という3つの補強ポイントを抱えていたが、2件のトレードでこの3つの補強ポイントを見事にカバーしてみせた。 まずカージナルスが先発投手補強として目を付けたのがエリック・フェディ(ホワイトソックス)だった。韓国球界から2年ぶりにメジャー復帰を果たした今季、フェディは21試合に先発して7勝4敗、防御率3.11と安定した活躍を披露。2年契約を結んでいるため、来季まで保有できる点も大きな魅力だった。しかし、1年半保有できる好投手をトレードで獲得するためには当然大きな対価が必要。プロスペクトの放出を回避したいカージナルスは、ドジャースがトミー・エドマンを高く評価していたことを利用し、ドジャースにプロスペクトを出させる形で三角トレードを成立させた。 この三角トレードでカージナルスが手放したのは、レギュラーとして活躍した実績があるとはいえ、今季は故障で1試合も出場していなかったエドマンと、マイナーの下位階級でプレーしている17歳の右腕(オリバー・ゴンザレス)だけ。しかも「計算できる先発投手」としてフェディを獲得しただけでなく、「左腕に強い右打者」として経験豊富なベテラン外野手のトミー・ファムも手に入れた。カージナルスのジョン・モゼリアック編成本部長は現有戦力にダメージを与えることなく、2つの補強ポイントを1つのトレードでカバーしたのだ。 レイズとのトレードでは救援右腕ショーン・アームストロングを獲得。対価として放出したのは、元トップ・プロスペクトながら出場機会を失いつつあったディラン・カールソンだった。カールソンの穴はファムが埋めるため、カールソンの放出は実質的にノーダメージ。完全な余剰戦力とのトレードでメジャー通算280登板の実績を持つアームストロングを獲得し、ブルペンに厚みを加えることに成功した。 レイッチ記者は「カージナルスはほとんど何も失うことなく、3つの穴をすべて埋めた。カージナルスが手放したのは余剰戦力のエドマンとカールソン、そして下位階級のマイナーリーガーだけだ」とトレード・デッドラインでのカージナルスの動きを高く評価。トレード・デッドラインの「勝者」に選んだ7チームのなかでも最高の評価を与えた。 2位はジャック・フラハティの獲得に成功したドジャース、3位はランディ・アロザレーナやジャスティン・ターナーを手に入れたマリナーズ、4位はポール・ブラックバーンらを獲得したメッツ、5位はトレバー・ロジャースやエロイ・ヒメネスを獲得したオリオールズ、6位はカルロス・エステベスらを手に入れたフィリーズ、7位はポール・デヨングやルーカス・アーセグを獲得して戦力の底上げに成功したロイヤルズが選ばれている。