小児科を標榜しているのに「小児科専門医」がいない…現役医師が受診前の確認を強く勧める病院サイトの項目
■専門医をいくつもは取れない この専門医資格において、「基本領域」と呼ばれる大きな資格をいくつも取ることはなかなかできません。基本領域というのは、内科、小児科、皮膚科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、放射線科、麻酔科、病理、臨床検査、救急科、形成外科、リハビリテーション科、総合診療です。同時に、複数の領域の専攻医登録をすることはできません。 さらに専門医資格は、取得後も5年ごとに更新する必要があり、そのためには日々研鑽を続けなくてはなりません。具体的には、どのように診療をしているかを記載し、バランスよく単位を取ります。専門医の更新に必要な単位は、専門医共通講習と領域講習を受けたり、学会に参加したり論文を書いたりすることで取得できます。でも、診療業務をしながら単位を取るのは時間のかかるものです。 そのため、複数の専門医資格を持っている医師は非常に稀です。つまり、小児科専門医で麻酔科専門医だとか、皮膚科専門医で精神科専門医だということはほとんどありません。そもそも専門性を高めることが大切にされているため、基本領域の専門医資格を同時に3つ以上持つことは推奨されていないのです。 ■サブスペシャリティ領域とは ただし、基本領域のさらに細分化された資格である「サブスペシャリティ領域」では、専門医を2つ持つことができます。サブスペシャリティという専門医資格には、基本領域の専門医を取る際に連動して研修を受けられるもの、連動研修を行うことができないもの、少なくとも1つのサブスペシャリティ領域を習得した後に研修を受けるものの3種類があります。 どういうものがあるかというと内科系が16(消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、血液、内分泌代謝・糖尿病内科、脳神経内科、腎臓、膠原病・リウマチ内科、アレルギー、感染症、老年科、腫瘍内科、肝臓内科、消化器内視鏡、内分泌代謝内科、糖尿病内科)、外科系6(消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、乳腺外科、内分泌外科)、放射線科2(放射線診断、放射線治療)です。 これに加えて、2022年4月から脊椎脊髄、集中治療、放射線カテーテル治療の3つのサブスペシャリティ領域専門医の研修が始まりました。他にも新生児科など新たに日本専門医機構の認定を受けることを目指している分野もあります。 一方、小児耳鼻科とか胃腸内科といったものは日本専門医機構が認めるサブスペシャリティではありません。医療機関がどういう人を対象にしていて、受診してほしいのかを標榜しているものです。