ウォール街は一段のドル高見込む-どこまで進行かは意見分かれる
ジャックス氏はインタビューで「今よりももっとドル高ムードになるのは難しい」と発言。「現時点はトランプ氏が勝利し、それはドルに非常にポジティブだが、われわれはゲームの前半戦にさえいない」と論じた。
一方、スタンダード・バンクのスティーブ・バロー氏は、トランプ氏が政権1期目に関税を導入したが、結局ドルは下落したと指摘した。
「現在見られるドルの強さは、長期的には解消される可能性が高い」とバロー氏はリポートで予測。「トランプ氏の最初の任期では、就任時よりドルは10%程度下落し、25年1月から29年1月にかけては、この10%が最低ラインとなるだろう」との分析を明らかにした。
コメルツ銀行のウルリッヒ・ロイヒトマン氏は、トランプ氏が最終的に世界の基軸通貨ドルを弱めるために介入するリスクさえあるとみている。
ユーロは今のところ、輸出依存度や中国へのエクスポージャーが高く、既に経済成長が低迷していることから、ドルに対して最も脆弱(ぜいじゃく)な通貨の一つとなっている。幾つかの銀行が米国の選挙以降にユーロの見通しを下方修正し、多くの銀行が来年には対ドルでパリティに向けて下落するリスクがあるとみている。
ドル高は新興国通貨にも重しとなっており、MSCI新興国通貨指数は12日に3日営業日続落し、8月以来の低水準となった。
ブルームバーグがカバーする新興市場23通貨はトランプ氏の当選以降、全て弱含んでおり、中でも南アフリカ・ランドとハンガリー・フォリントが最低のパフォーマンスとなっている。メキシコ・ペソは5日以降、2.2%下落して1ドル=20.6ペソと、22年半ば以来の安値となった。ウェルズ・ファーゴのストラテジストは、投資家に対ペソでのドルロングを推奨している。
ドル以外の通貨がこれまでのところ軟調に推移していることは、ドルにとって良い兆候だ。オプション取引と最新のポジショニング・データによると、トレーダーはドルのさらなる上昇に賭けており、ドルに対する今後1年間の強気センチメントは7月初め以来の強さとなっている。