ウォール街は一段のドル高見込む-どこまで進行かは意見分かれる
JPモルガンによると、トランプ氏勝利に伴うセンチメントショックは、公式な関税の発表がなくても、ドル押し上げに十分だという。同氏の政策のタイミングが見通せないため、ドル高が一直線に進むとは考えにくいものの、ドルが今後数カ月で最大7%上昇すると、ミーラ・チャンダン氏率いる同行ストラテジストはみている。その場合、ユーロはドルとパリティに向かい、人民元は1ドル=7.40元に近づくことになる。
「選挙結果はドルの例外性を増幅させる」とした上で、「成長や株式の面での優位性や高い利回り、ディフェンシブな特性といったドルが持つものを他のいずれの通貨も持ち合わせていない」とコメントした。
カマクシャ・トリベディ氏をはじめとするゴールドマンのストラテジストは、ドル高を促進するのは政策提案だとする。ドル高が保証されるには程遠いが、保護主義的な措置が検討されているとしても、他国・地域の対抗的な刺激措置次第でさらなる上昇の規模は変わる可能性がある。
バークレイズとブラウン・ブラザーズ・ハリマンのストラテジストも同様に、ドルの持続的な上昇を妨げるものはほとんどないとみている。トランプ氏の政策方針に加え、経済のモメンタムもドルに有利な方向にシフトしており、米金融当局が追加利下げのタイミングと速度について明確なガイダンスを避けたため、トレーダーは利下げサイクルの程度に関する予測を縮小していると説明した。
欧州最大の資産運用会社アムンディのグローバルFX部門責任者、アンドレアス・ケーニッヒ氏は先週の選挙後にドルのロングポジションを増やした。「現時点でドル高に異を唱えるのは非常に難しい」とし、「今回の選挙結果は、米国とドルにとってはプラス、他の全ての国々、特に欧州にとってはマイナスとなりそうだ」と述べた。
ソシエテ・ジェネラルの為替戦略責任者、キット・ジャックス氏は、来年1月20日のトランプ氏の大統領就任を控えてドルは今四半期にピークを迎えるが、来年も高値圏で推移する可能性が高いと予想している。