わざわざ「目隠しを外させた」上で「女性としての尊厳」を侵害...持病の「うつ」まで嘘と責め立てる、イラン刑務所看守たちの「鬼畜の所業」
イランでは「好きなことを言って、好きな服を着たい!」と言うだけで思想犯・政治犯として逮捕され、脅迫、鞭打ち、性的虐待、自由を奪う過酷な拷問が浴びせられる。2023年にイランの獄中でノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディがその実態を赤裸々に告発した。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 上司の反対を押し切って担当編集者が日本での刊行を目指したのは、自由への闘いを「他人事」にしないため。ジェンダーギャップ指数が先進国最下位、宗教にも疎い日本人だからこそ、世界はつながっていて、いまなお闘っている人がいることを実感してほしい。 世界16カ国で緊急出版が予定されている話題作『白い拷問』の日本語版刊行にあたって、内容を一部抜粋、紹介する。 『白い拷問』連載第38回 『シャワー中もトイレ中も看守が「覗き込んでくる」...キリスト教徒というだけで罪に問われるイランの、深刻すぎる「人権侵害の現状」』より続く
父を「背徳者」と呼ばれて
語り手:ファティメ・モハンマディ ファティメ・モハンマディ(1998年生まれ)は市民活動家である。キリスト教に改宗し、個人宅で宗教集会に参加していたために、諜報治安省に逮捕された。逮捕されたのは彼女が「テヘラン・クリスチャンの家」で行事に参加しているときだった。2017年4月7日、革命裁判所第26支部のアフマザデ裁判官により、「キリスト教活動及び反体制的プロパガンダを通じて国家の安全を脅かした罪」で、6ヵ月の禁固刑に処され、エヴィーン刑務所の209棟に送られた。ファティメは20日間を独房で過ごした。彼女はまた、改宗を理由に、アザド大学のテヘラン・キャンパスで英語翻訳を学ぶことを禁止された。 尋問官は、私の容疑とは関係のない、生活の最もプライベートな部分をつついてきます。私を貶める言葉を投げつけてきます。私たち家族の内輪の出来事まであれこれ批判し、馬鹿にしました。父を背徳者と呼ばれ、私は何も言い返せませんでした。 ある日、私は父を愛していると話しながら、泣き出してしまい、尋問官は一瞬黙りこみました。次に尋問官は私の携帯電話を取り出して、友人といままで交わした会話について尋ねました。そのすべてが個人的で私的なもので、私の裁判や容疑とは基本的に何も関係ないものでしたが、彼らは友人たちの話をしろと命令しました。 当たり前ですが、誰しも家族や知り合い、友人とは、私的で親しい、あるいは情熱的な関係を結んでいるものです。尋問官はそういうものに対する配慮が一切ありませんでした。本当に悪趣味です。
【関連記事】
- 【つづきを読む】「これを食え!」出てきたのは「大きなきゅうり」が1本…囚人を拷問して《大量虐殺》 イラン最凶の看守との《絶望のムショ暮らし》
- 【前回の記事を読む】シャワー中もトイレ中も看守が「覗き込んでくる」...キリスト教徒というだけで罪に問われるイランの、深刻すぎる「人権侵害の現状」
- 【はじめから読む】人を破壊する「白い拷問」…ノーベル平和賞を受賞した女性がイランの女性刑務所で受けた「ヤバすぎる蛮行」を緊急告発
- 政府による拷問で腎臓病、脱水、不眠、そして失明...イランで女性の人権を叫んだ者の「悲惨すぎる末路」
- 「電流ケーブル」で…イランの女性活動家が経験した、体中が《痙攣》しても終わらない《地獄の》拷問