わざわざ「目隠しを外させた」上で「女性としての尊厳」を侵害...持病の「うつ」まで嘘と責め立てる、イラン刑務所看守たちの「鬼畜の所業」
「薬」を飲んだら…
薬のパッケージは一度も見たことがありません。ただ毎朝、毎晩、錠剤を持ってこられて、看守の見ている前でコップの水で飲みこまなければいけませんでした。具合が良くなるどころか、不安がいっそうひどくなりました。病気は明らかに悪化しました。 もう尋問に呼ばれることはなく、ただ独房に拘禁されていたので、そのほうが気がかりで心配になりました。「ねえ、もう私に用がないなら」と私は女性看守に話しかけます。「ここから出してくれません?」。しかし彼らは私を無視します。この房を出るためなら尋問だって構わないと思いました。あれほど貶められ、侮辱され、罵倒されたのに。足音が近づいてきて、独房の外の世界が見られるなら、どんな出来事でも大歓迎でした。 あるとき、男性が廊下を掃除していました。その人が床を掃いて掃除をしている間、私は息を止めて通気口のすぐ横に顔をくっつけ、その小さな穴から、男性が動いている様子を見ようとしました。もちろん無理でした。それでも私はいつもドアのすぐそばに立って外の様子をうかがおうとしていました。 尋問官を信用して良いのか分かりませんでした。ある日、尋問の予定があると言われました。時計がなかったのではっきりとは分かりませんが、始まったのは夜遅くだったと思います。尋問官が来て、私の友人と家族全員が、私を有罪にする重要な情報を明かし、私を責めている、と言いました。彼は「いいか、家族さえもお前を悪く言ってるぞ」と言うのです。私はそれを信じました。ひどく泣きました。 なぜ誰も私を庇ってくれないのか、なぜみんな私を見捨てたのかと絶望感に襲われました。自分の両親に悪く言われているということさえも信じてしまいました。どれほど落ち込んで泣いたか、想像できないと思います。 のちに分かったのですが、これらは全部嘘でした。独房拘禁と尋問で気持ちが張り詰め、気づくと床に膝をついて泣いていることがありました。自分でも知らないうちにそうなっているのです。キリストに呼びかけ、問いかけました。キリスト以外に手を差し伸べてくれる存在はないと思っていました。 翻訳:星薫子 『「これを食え!」出てきたのは「大きなきゅうり」が1本…囚人を拷問して《大量虐殺》 イラン最凶の看守との《絶望のムショ暮らし》』へ続く
ナルゲス・モハンマディ(イラン・イスラム共和国の人権活動家・ノーベル平和賞受賞者)
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