『家族だから愛したんじゃなくて~~』『国道沿いで、だいじょうぶ100回』の作家・岸田奈美さんに訊く 家族、自分、困難乗り越え術
本当の気持ちを理解してくれる方からの誘いはなんでもやってみる!
–常に様々なチャレンジをされていると思うのですが、新しいことにチャレンジする原動力はどこからくるのでしょうか? 岸田さん:仕事に関しては私の気持ちに寄り添ってくれる、本当の気持ちを理解してくれる人が誘ってくれることはなんでもやってみよう!と思っています。 例えば、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』はドラマになりましたが、演出の大九監督が「岸田さんのエッセイは、人を笑わせようと思って明るく書いているけれど、本当はもっと悲しくて苦しいことがあると思う。だからそこを書きたい」とおっしゃっていたとプロデューサーから聞いたとき、その理解度に驚きました。 ■本当の原動力は悲しみや苦しみ 私の原動力は悲しみや苦しみ、トラブルなどマイナスからスタートしていることが多くあります。その部分を汲みとっていただいていたので、やってみようと思ったんです。 作品は私の味方や仲間をつくるために書いているので「悲しませすぎない、嫌な気持ちにさせない」ということをとても大事にしています。 そのため、エッセイなどは笑顔で読めるように軽やかに書いているんですが、ドラマでは本当は辛かったことを表現してくれていました。私には書けないけれど、本当はずっと思っていたことだったのです。 以前まで私は「ネットで無料で読めるものを書いてるから作家にはなれない」と自分を卑下していた部分がありましたが、作家としてチャレンジできたのも編集担当の方が「読者はネットだけではない、もっと多くの人に届けましょう」と声を掛けてくれたことがきっかけです。 本になったことで、私のnoteやSNSで読んでくれていた読者層以外の方も手に取っていただけるようになりました。それこそおじいちゃん、おばあちゃん世代の方まで、私のエッセイを読んでくださっています。 仕事以外で言うと、父が亡くなって「後悔をしないように行動しよう!」という想いが強くなりました。その想いが原動力になっていて、家族のことは責任を引き受けて、思い切って行動するのが私の役割だと思っています。