ティアフォー社長が語る「自動運転」日本の勝ち筋、ソフトだけでなくデータのオープン化がカギ
テスラ型かウェイモ型かで学習させるデータも違ってくる。テスラ型ならカメラの画像データだけを学習する。ウェイモ型ならレーダーやライダーのデータも学習する。われわれはデータについてもオープンソース化していく。 ――10月に日立アステモと共同開発した自動運転の「開発キット」の販売を開始しました。そもそもこれはどういったものなのでしょう。 われわれが提供するデータ収集のツールで、ルネサスの半導体を使っている。これを自動車に搭載してデータを収集する。アクセルやブレーキのデータ、テスラ型ならカメラを搭載して画像データを収集する。ウェイモ型ならライダーやレーダーも搭載してそれらのデータも集める。
開発キットを搭載するのは自動運転カーでなくてもよい。例えば、日本交通さんへ販売しているが、タクシーに開発ツールとセンサーを搭載して実走行のデータを収集し、それをAIで学習することで高度な自動運転につなげていく。 ――先ほど「データもオープンソース化していく」と。 開発キットで集めたデータはオープンソース化していく。 ■データのオープンソース化で海外大手を追撃 ――他社が集めたデータを無料で提供してもらうのですか。
オープンということと無料であることは違う。ソフトでもそうだが、オープンには無償と有償の両方がある。オープンなだけでデータの使用には基本的にお金を払ってもらう。 テスラやウェイモ、中国勢などは自社で膨大なデータを集めている。これに1社で追いつくのは不可能だ。が、オープンソース化することで彼らに負けないデータを集めることができる。 ――経済産業省の後押しで「モビリティDXプラットフォーム」が10月に立ち上がりました。
自動運転にかかわる人材育成などがメインの活動になるが、データのオープン化の後押しにもなる。大企業の自動車メーカーとわれわれのようなスタートアップ、さらにでAI研究で著名な東京大学の松尾研究所もかかわっている。自動運転、データ、生成AIがつながっていく。 こうした政府のバックアップはとてもありがたい。 ――自動運転は世界各地で実証実験が着々と進んでいますが、事故も起きています。 (一定の条件下でシステムが運転を担う)レベル4が社会に実装されていくのは間違いない。ただし、いつ、どこで、誰がやるかはまだ流動的だ。