酔いどれ編集長のクラフトビール飲みある記(105)箕面ビールの「W-Tea W-IPA」を飲んだ!
箕面ビールの「W-IPA」がワン・オブ・マイ・フェイバリット・ビール(最もお気に入りのビールのひとつ)は前回の連載のほか何度かここで伝えてきた。連載18では箕面ビールが大阪の北部に位置する箕面市のブルワリー(醸造所)で、非熱処理で無濾過(ろか)のビールを造っており、三姉妹が経営している(と聞いている)ことを伝えた。 今回の連載で改めて調べてみて、間違いなく三姉妹による運営だとわかったが、箕面ビール(の前身のエイ・ジェイ・アイ・ビア)を立ち上げたのは、三姉妹の父だった。1996年、大阪府吹田市で酒販売店を経営していた大下正司さんが、いきなりビール造りを宣言したという。インターネットで見つけた現在、箕面ビールの代表を務める長女、大下香緒里さん回顧記事(日経新聞)によると、宣言に「正直驚いた」という。 <家族で食事を終えた後、父に今の工場がある場所(箕面市牧落)に連れて行かれ、「ここでビールを造る」と言い出した>と記事にある。家族への相談もなく、いきなり宣言させたらそりゃあ驚く。<安売り店の増加で価格競争が激しくなるなか、付加価値の高いビールを造ろうと考えたのだろう。私も3カ月間だけ醸造設備の使い方を教わってから工場で働いた。94年にビール醸造の規制が緩和されて当時は地ビールブーム。とにかく忙しく、体重が10キログラム以上落ちた>とも。 2009年には、世界的なクラフトビール品評会である「ワールド・ビア・アワード」で「スタウト」が、ドライスタウト部門で金賞を獲得した。世界的なビールが大阪から出たと話題となり、ローカルブルワリーから脱却して全国区になれたという。09年以降も世界コンクールで数々の賞を取ってきた。 ところが、禍福はあざなえる縄のごとし。地ビールブームの下火による経営難を乗り越えた2012年に正司さんが急逝。工場で倒れて亡くなったという。98年から工場長になっていた香緒里さんは後を引き継いで社長に。次女の真友子さんと三女の望さんが長女を支えた。2014年には箕面ビールを設立して社長となり、今に至るという。 僕が大好きな「W-IPA」も2013年にワールド・ビア・アワードのワールド・ベスト・インペリアルIPA部門で金賞、2017年にインターナショナル・ブルーイング・アワードのダークビール部門で金賞をそれぞれ獲得している。