並ぶだけで「4時間1万円」の報酬…“転売ヤー”が暗躍し続ける背景に「中国の転売組織」の存在。企業が“利用する”事例も
世の中から転売が根絶することはない
商材を大量に購入して、市場経済を大きく回す転売ヤーは、企業側も無視できないほど大きな影響力を持つ。それに購入者も、限定品であれば高値でも良いから手に入れたいという心理から、転売ヤーを経由して購入するケースは珍しくないはずだ。 こうした背景からも、転売が蔓延するのは必然と言える。事実、奥窪氏も「世の中から転売が根絶することはない」と断言する。 とはいえ、転売は決して推奨される行為ではないことも事実だ。 これまでもせどりや中古品販売ビジネスは栄えてきたものの、それらと転売が決定的に異なるのは、同じ商品を大量購入して市場を独占することだ。グッズなどの限定品も、一部の転売ヤーが買い占めることで、本当のファンに届かなくなる弊害がある。 加えて、転売は犯罪の加担にもなりかねない。一例を挙げると、酒類や医薬品など販売許可が必要なものを無免許で横流しした場合や、転売した格安スマホがフィッシング詐欺で抜き取った個人情報で契約していたケースなど、転売に付随する行為で法を犯しているパターンも考えられる。 我々のような一般人に必要なことは、転売のスキームや弊害を理解して、節度ある消費行動をとることに尽きるのかもしれない。 <取材・文/佐藤隼秀> 【佐藤隼秀】 1995年生まれ。大学卒業後、競馬会社の編集部に半年ほど勤め、その後フリーランスに。趣味は飲み歩き・散歩・読書・競馬
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