“まんがの集英社”の総力を結集! 22年ぶりにリニューアルした『学習まんが 世界の歴史』のポイントは?【編集者インタビュー】
10月に発売された「集英社版『学習まんが 世界の歴史』」。2026年に創業100周年を迎える集英社の「創業100周年記念企画」の一環として刊行された。多くの読者に愛され続けてきたロングセラーシリーズの、22年ぶりの全面リニューアルで、荒木飛呂彦氏など集英社の人気まんが家が表紙を描いたことでも注目を集める本シリーズ。ではどの部分がどのように変わったのか? ――今回のリニューアルに関わった集英社 児童書編集部副編集長の加藤義弘さんにお話を伺った。 【まんが】『学習まんが 世界の歴史』を読んでみる
大国だけでなく、多くの国に目を配った再編集
加藤義弘さん(以下、加藤さん):リニューアルというと前作を前提に新しくした印象を受けるかもしれませんが、実質は全面刷新と言いますか。タイトルのみが引き継がれていて、中身はシナリオから作画から全て新しいものになっています。 ――そうだったのですね。となるとかなり大きいプロジェクトだと思うのですが、いつ頃から動き出されていたのでしょうか? 加藤さん:2017年頃からまず「どういう目線で作るか」というベースの部分を考えました。その時に“ムンディ先生”という名前でYouTuberとして活躍されている山﨑圭一先生の授業動画を拝見して。学校の授業を受けられない子だったり、既に卒業してしまった子だったりに向けて作られている動画なのですが、すごくわかりやすいんですよ。そこで「山﨑先生に総合アドバイザーをお願いする」という軸が決まりました。山﨑先生は実際に教壇に立った経験もあるので躓く生徒を見てきているから、「理解してもらうためにはどうしたらいいか」という視点をお持ちなんですよね。見せ方を工夫するにあたって、その視点にかなり助けられました。 もうひとつの大きな軸は2021年に改訂された新学習指導要領ですね。改訂されることはプロジェクトが始まった時点で既に予告されていたので、各巻の監修には新しい学習指導要領に合った先生を探しました。 ――新しい学習指導要領に合った、というのはどういう意味ですか? 加藤さん:新しい学習指導要領はいわゆる大国の歴史だけでなく、ひとつひとつの地域の歴史や地域間の交流にも重点が置かれているんです。なので新進気鋭の方に新しい視点でお願いしたいという意図で監修の方を探しました。いろんな国の歴史に目配りをできる方にお願いしたことで、たとえば「植民地だった国がその後どう独立していったのか」などさまざまな国の背景や現在に触れることができた内容になったと感じています。 ――先ほど見せ方の工夫をしたとおっしゃっていましたが、具体的にどの部分でしょうか? 加藤さん:各巻のまんが本編が始まる前に「ムンディ先生のまるわかり解説」というページがあるのですが、そのテキストは山﨑先生に書いていただき、図のイメージも作っていただきました。初学者、つまり初めて世界史に触れる人にとっては、まんがとはいえどのお話も初見なわけですよね。そこでこのページを先に読むことで、すんなり物語に入れるようにという工夫をしました。
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