富裕層が続々と投資する「米ドル債券」…値上がり益1000万円を300万円にできる、課税負担を減らす正攻法【スイスの元プライベートバンカーが解説】
海外の富裕層にとって米ドル債券はもっともポピュラーな投資先です。ここでは、個別米ドル債券を保有するにあたって、かかる税金面と米ドル債券を取り巻く投資環境について、世古口俊介氏の著書『富裕層のための米ドル債券投資戦略』(総合法令出版)より一部を抜粋し、解説します。 【早見表】毎月1万円を積み立て「預金」と「NISA」を比較…5年~40年でどれくらい差がつくか
米ドル債券の税金
税金についても簡単に説明しておきます。個別の米ドル債券を個人で持っている場合は2つの税金が発生します※。 ※個別債券への投資リスクは発行体の倒産リスクが集中しやすいことですが、富裕層は投資金額が大きく複数の個別債券に投資し、倒産リスクを分散できます。1社が倒産しすべて損失になったとしても債券ポートフォリオに与えるダメージを抑えることができます。そのため、資産に余裕がある富裕層は出来合いのパッケージ商品(投資信託)よりオリジナルの特注品(個別債券)を選ぶことが多いです。ここでは富裕層により、需要が高い個別債券を前提に米ドル債券の説明を行います。 利息収入 1つ目が利息収入にかかる税金です。利息の金額に対して20.315%を証券会社が徴収し、残りの80%弱が税引後の利息として債券保有者に支払われます。 売却もしくは償還時にかかる値上がり益 2つ目が売却もしくは残存期間が終わり元本返済されるとき(償還時)にかかる値上がり益にかかる税金です。値上がり益は債券の価格損益と為替損益の掛け算で決まります。 例えば、債券の償還時に投資時より価格が10%上昇、為替も投資時より10%円安になっていたなら、合わせて購入金額に対して20%程度が債券の値上がり益になります。債券は値上がり益に対しても20.315%の税金が発生します。 なお債券から発生する利息収入や値上がりの利益は、他の金融資産の損失と相殺ができます。債券の利息収入や値上がり益が合計で1000万円あったとして、同じ年に株式の売却損が700万円あったとすると、相殺してその年の利益を300万円ということにして課税負担を減らすことができます。 債券を資産管理会社などの法人で持っている場合は、利息収入も値上がり益もその法人の収入となり、法人で発生する経費などと相殺して利益が残れば法人税がかかります。