富裕層が続々と投資する「米ドル債券」…値上がり益1000万円を300万円にできる、課税負担を減らす正攻法【スイスの元プライベートバンカーが解説】
米ドル債券の投資環境
次は、年利回りや為替など投資環境の確認の方法と合わせて現在の投資環境についても説明したいと思います。 米10年国債利回り アメリカが発行している米国債の利回りはすべての米ドル債券の利回りの基準となっています。つまり、米国債の利回りが上がればすべての米ドル債券の利回りも上がり、米国債の利回りが下がればすべての米ドル債券の利回りも下がるので、米ドル債券全体の収益性(利回り)を考える上でもっとも重要な指標です。 図表1はその米国債の中でもっとも代表的な米10年国債利回りの30年間の推移です。30年の長い動きを見るとわかるように2022年から上昇傾向にありますが、長いトレンドで見ると全体的には低下傾向にあります。全体的に低下傾向にある理由はアメリカ経済が成熟して、成長が緩やかになっているからです。 国債の利回りは国の経済成長や物価上昇に連動しています。例えば、インドやブラジルのような新興国だと成長や物価上昇が大きいため、国債の利回りも7%や10%と高くなっているわけです。一方で、日本のように経済が成長していない国は利回りが低くなります。日本の10年国債利回りは、2024年4月時点で0.7%程度です。アメリカも日本よりは成長していますが、過去と比べるとその成長が緩やかなため、米10年国債利回りも低下傾向になるわけです。 では、アメリカの経済力からどれくらいが利回りの相場なのかと考えると、おそらく2%から3%程度が妥当な水準ではないかと思います。そうすると2024年4月時点の利回りは4.3%なので非常に高水準の利回りと考えられます。 図表1の利回り推移を見るとわかるように、実は2024年4月は16年ぶりの高利回りなのです。理由は2022年以降のコロナ明けのリベンジ消費とロシアのウクライナ侵攻による原油高・資源高が重なったことによる激しい物価上昇(インフレ)です。物価が上がると国民の生活が厳しくなるので、アメリカは国が決められる金利を2022年以降上げ続け、それが原因で米10年国債利回りもここまで上昇したわけです。 なにはともあれ米国債で利回り4%以上は滅多にないチャンスということが富裕層の多くが今、米ドル債券に投資している理由かと思います。今の米国債利回り4%まではいかなくても、3%以上あればアメリカの経済力を考えると十分、高水準の利回りで投資のチャンスといえるでしょう。