悩める阪神・藤浪の新スリークォーター投法は復活への切り札となり得るのか?
阪神の藤浪晋太郎(24)が2日、ヤフオクドームで行われたソフトバンクとのオープン戦に7回から登板、2イニングを投げて2本のヒットを打たれたが、無四球無失点と結果を出した。ソフトバンクが左の若手を並べてきたことにも助けられたが、スリークォーターに腕の位置を下げ、力みの消えた新フォームで“新生藤浪”をアピールした。これを一歩前進と捉えるか、それとも……。今は、一喜一憂するよりも、とにかく開幕まで藤浪を温かく見守ることが必要だろう。
スリークォーターでリリースが安定
藤浪はノーワインドアップに戻していた。これも試行錯誤の象徴である。先頭の代打・栗原には151キロのストレートをライト前へ弾き返された。だが、課題のセットポジションで、梅野の肩に助けられると、釜元、周東を続けて一塁ゴロに打ち取った。わずか9球でイニングを終える。 腕を下げたスリークォーター。大阪桐蔭高校時代から、デビュー時に近いフォームの腕の位置まで思い切って下げることでリリースポイントが安定した。釜元への1球は、156キロをマークするなど、ストレートは150キロを超え、抜けたボールは1球もない。 8回は、先頭の代打・谷川原にフォークをひっかけさせた。ボテボテの投手ゴロ。処理して一塁へ下から投げた送球がショートバウンドになりながらも一死を取ったが、続く高田に153キロの低めストレートを逆方向にうまく打たれて二塁打にされた。再びセットになっても藤浪は崩れない。高谷を148キロのストレートでライトフライ、タッチアップで三塁へと走者を進められたが、福田をインサイドのスライダーで、ポーンと内野フライに打ち取った。 制御不可能な暴れ球は姿を消し、突如として崩れる藤浪の“ジキルとハイド症候群”のジキルはついに顔を出さなかった。 ソフトバンクは、右打者への死球を恐れたわけではなかろうが、代打攻勢でズラリと左打者を並べた。しかも、当落選上の若手が中心で、彼らが積極的にファーストストライクを打ってくる姿勢も、藤浪の“追い風”になったのかもしれない。 新スリークォーター投法と、この結果をどう評価すべきか。 試合を取材した元阪神の評論家、池田親興さんは、「藤浪も色々試しているんだろうし、まだこの段階で、いい悪いを判断するのは早い」と評価を避けた。 「無駄な力みはなかった。スリークオーターに腕を下げたことで、力んで体から腕が離れ、横ぶりになって、抜ける、左打者にシュート回転したボールが見やすく中へ集まる、といった悪い癖は出ず、安定してストライクゾーンに投げることができていた。左打者のインサイドへのスライダーも良かった。オープン戦とはいえ1点のやれないシチュエーション。結果が出たことで藤浪の気持ちも少し落ち着いたのではないか」