悩める阪神・藤浪の新スリークォーター投法は復活への切り札となり得るのか?
2試合目の対外試合登板となった2月24日の中日戦では4回を投げて4安打6四死球3失点。またデッドボールを当てるなど、去年までの不安定な藤浪の姿があった。だが、そこから連日、ブルペンに入り福原投手コーチと一緒に試行錯誤しながらフォーム修正に取り組んだ。 ワインドアップでは、縦に体を使えるが、セットになると、どうしても強いボールを投げようと意識する余り、体が開き腕が離れ横ぶりとなってボールがシュート回転して制球が定まらない。 その点が課題だったが、本来の自然な体の使い方が横回転ならば、それに逆らわず腕を下げてみようという発想から7年ぶりにスリークォーターに戻してみたという。 だが、不安がすべて消えたわけではない。 「1球、1人でガラっとピッチングが変わってしまうのが藤浪。若手の左が並んだという点を差し引いて考える必要もあるだろう。右打者に対してインサイドを攻めることができるのか、という部分も今後は見てみたい。腕を下げてもスピードガンの数字は出ていたが、彼の持ち味である球威は十分ではなかった。球威を追求すると、またボールが荒れるのかもしれないが、今後、このあたりのバランスをどう作っていくかも課題だろう」と、池田氏。 ストレートの最速は156キロ。スピードガンの数字は、それなりに出ていたが、空振りを奪ったのは盗塁をサポートしたケースの1球だけだった。低めのストレートは動かしていたが、スリークォーターと引き換えに迫力不足となったのは、不安と言えば不安だ。 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏も「どこを目指すのか、そのために今、何を考え、何をやっているのか、を本人もコーチも理解しながら進めていくことが重要だと思う。彼はストライクゾーンの四隅を狙っていくピッチャーではない。球威があるのだから極端に言えば、ストライクとボールの投げ分けができるレベルでいい。それさえできず苦労しているのが、現状かもしれないが、たとえボールがシュート回転しても、それを生かす手段はあるのだし、自分の長所をしっかりとしたプランを持って追及することが重要だろう。あれもこれもすべてを良くすることは無理なんだから、シンプルなチェックポイントを作って前へ進むべきだと思う」という意見。 そういう意味ではシンプルに「腕の位置を下げリリースポイントを安定させる」というポイントに絞った藤浪の修正プランは正解だったのかもしれない。 スリークォーター投法が、復活の切り札になるか、どうかは、まだわからない。投手でも野手でもフォームを変えたばかりの時点では効果だけが目立つものだし、まだ右打者との対戦もない。今後、我慢強く継続しながらブラッシュアップさせていくことが重要になってくる。ただ悩める藤浪が、ハッキリとしたビジョンを持って復活プロセスの入り口に立ったことだけは確かだろう。