GeForce RTX 4060 Ti/RTX 4060/RTX 2060/GTX 1650/GTX 1060新旧ミドルレンジGPU対決!
ウィー! どうも芹澤正芳です。「PCパーツ名勝負数え歌」の第12戦は新旧エントリー/ミドルレンジGPU対決をお届けする。ピックアップしたNVIDIA GeForce RTX 2060、GeForce GTX 1650、GeForce GTX 1060は旧世代のGPUだが、Steamの統計によるハードウェア使用率ではまだまだ上位に食い込んでいる。 【画像】GeForce RTX 4060/4060 Ti/2060、GeForce GTX 1650/1060の性能差をチェックしていく とはいえ、ビデオメモリは4GB~6GB、GTXシリーズはDLSSやレイトレーシングに対応できないなど性能面でも機能面でも最新世代に比べてかなり弱いのは事実だ。平成維震軍が最新のプロレスに対応できるのか、という感じか。もちろん平成維震軍は時代を超えて素晴らしいのだが。 2025年初頭現在、ミドルレンジのGPUとして乗り換え先の候補に挙がるのは、もっとも新しい世代のGeForceから選ぶとなると、GeForce RTX 4060およびRTX 4060 Ti(RTX 3050という選択肢もあるにはあるが、これも世代としては古めなので、本稿では乗り換え先としては除外した)。今回は、これらGPUの性能差をチェックしていく。旧世代のGPUで最新ゲームがどこまでプレイできるのか、GeForce RTX 4060/4060 Tiにすることでどこまで快適になるのかが注目ポイントと言えよう。次期GeForceも間もなく登場するが、まずはハイエンドから、というのがこれまでの流れ。エントリー~ミドルレンジ狙いの人は本稿が参考になるだろう。 ■ CUDAコア数だけみても世代間で大きな差 まずは、今回取り上げるGPUの基本スペックを確認しておこう。以下の表にまとめている。並列計算の処理能力を示すCUDAコア数だけ見ても世代間の差は大きい。RTX 2060はDLSSに対応しているがアップスケーラーだけのDLSS 2まで。フレーム生成が可能なDLSS 3には非対応だ。それでカード電力はRTX 4060 Tiよりも高い。 ■ 意外に遊べるものもあるが性能差・機能差は歴然 さて、性能チェックに移ろう。テスト環境は以下のとおりだ。旧世代ミドルレンジGPUからの乗り換えというテーマがあるため、環境もミドルレンジCPUのロングセラー「Ryzen 5 5600X」を採用した。ドライバーは「Game Ready 566.36」を使用している。 また、使用したビデオカードは以下のとおり。RTX 4060は8GB版、RTX 2060は6GB版、GTX 1650はGDDR5版、GTX 1060は6GB版を使用している。 まずは、3D性能を測定する定番ベンチマークの「3DMark」から見ていこう。 GPUの力関係が分かりやすく出ている。DirectX 11ベースのFire Strikeで見るとRTX 2060からRTX 4060への乗り換えで約1.27倍、RTX 4060 Tiへの乗り換えで約1.45倍のスコア上昇だ。GTX 1060からの乗り換えでは、RTX 4060で約2.09倍、RTX 4070 Tiで約2.39倍もスコアがアップする。 また、レイトレーシングの処理も入るSpeed Wayについては、そもそもGTX 1650/1060では計測できず。RTX 2060もレイトレーシング向けのRTコアの世代が古いこともあって、RTX 40シリーズとは大きな差になっている。 □実ゲームでテスト 実際のゲームを試そう。画質はフルHDとWQHDの2種類。画質は最高クラスと中程度の2種類とした。旧世代のGPUでどこまでプレイできるかの目安になると考えたからだ。また、アップスケーラーを利用する場合はすべて「バランス」に設定している。 まずは、定番FPSの「Apex Legends」と「オーバーウォッチ2」でレイトレーシングやアップスケーラーを使わないラスタライズ処理での性能をチェックする。Apex Legendsは射撃訓練場の一定コースを移動した際のフレームレート、オーバーウォッチ2はbotマッチを実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している。 平均60fpsで十分というユーザーならGTX 1650/1060はこの二つのゲームに関しては、まだまだ現役と言ってよいだろう。ただ、240Hzなど高リフレッシュレートのゲーミング液晶と組み合わせて、よりなめらかな描画でプレイしたいと考えているならRTX 4060/4060 Tiを選びたいところだ。 次は、アップスケーラー、フレーム生成、レイトレーシングに対応する重量級ゲームとして「サイバーパンク2077」を試す。RTX 4060/4060 TiはDLSS 3(アップスケーラー+フレーム生成)を利用、RTX 2060はDLSSのフレーム生成は利用できないため、FSRのアップスケーラー+フレーム生成を利用している。GTX 1650/1060はDLSS非対応なので同様にFSRを利用した。 グラフ内の記述はSRがアップスケーラー(Super Resolution)、FGがフレーム生成(Frame Generation)だ。フレームレートの計測には、ゲーム内のベンチマーク機能を利用した。 画質“レイトレーシング:ウルトラ”については、RTX 4060/4060 TiならWQHDでも平均60fpsをクリア。RTX 2060はフルHDなら達成できる。FSRならフレーム生成を利用できるのが効いている。その一方でGTX 1650/1060はレイトレーシングに対応していないので、そもそも設定できない。ただ、画質“中”にすればフルHDなら平均60fpsをクリア可能だ。画質さえ割り切れればGTX 1650/1060でもサイバーパンク2077は遊べると言ってよいだろう。RTXシリーズならWQHDでもなめらかな描画で楽しめる。 2024年末に発売された最新ゲームはどうだろうか。まずは、2024年10月25日に発売された人気FPSシリーズの「Call of Duty: Black Ops 6」から。ゲーム内のベンチマーク機能を利用している。このゲームもサイバーパンク2077と同様にDLSSとFSRのアップスケーラー+フレーム生成が実装されている。 RTX 2060でも画質“極限”でWQHDまで平均60fpsをクリアが可能だ。GTX 1650/1060は画質を“ベーシック”まで下げればフルHDで平均60fpsに到達できる。旧世代のGPUでも、遊べるゲームだ。もちろん、RTX 4060/4060 Tiなら高フレームレートでのプレイが楽しめる。 続いて、2024年11月19日発売の「Microsoft Flight Simulator 2024」。前作も重量級と知られたタイトルで、アップスケーラーはDLSS、FSRとも備わっているが、フレーム生成に対応するのは原稿執筆時点ではDLSSのみ。つまり、今回のGPUでフレーム生成を使えるのはRTX 4060/4060 Tiだけになる。ここで大きなポイントだ。アクティビティのディスカバリーで東京を選び、60秒間飛行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定している。 描画負荷の重さはすさまじい。アップスケーラー+フレーム生成が使えるRTX 4060/4060 Tiでも画質プリセット最上位の“ウルトラ”ではフルHDでも平均60fpsにはかなり遠い。RTX 2060以下はなんとか動いているというレベルだ。画質を“ミドル”にすれば、RTX 4060/4060 TiはWQHDまで平均60fpsをクリア。RTX 2060以下は快適なプレイは難しい。ここで旧世代GPUの厳しさがハッキリと見えた。 【お詫びと訂正】記事初出時、誤った記述のグラフおよびキャプションが掲載されていたため削除しました。お詫びして訂正させていただきます。 次は2024年11月20日発売の「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」を試そう。DLSS、FSRともアップスケーラー+フレーム生成が実装されているゲームだ。Unreal Engine 5を使用して開発されたグラフィックスは美しいがそれだけに描画負荷は非常に高い。ザリシアの一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定している。 最高画質はRTX 2060以下は完全にガクガクな描画でGTX 1650はメニューを開くのも困難なほど重くなったため測定できなかった。GTX 1650は画質を“普通”に下げても非常に重く、ビデオメモリが4GBでは動作困難なゲームであることが分かる。GTX 1060でもなんとかプレイできるという程度だ。RTX 2060は普通画質なら平均83.2fpsと快適にプレイできる。最高画質のWQHDでRTX 4060 Tiのフレームレートが伸びていないが、ドライバーかゲーム側か原因は特定できなかった。GPU負荷は100%になっていた。 最後は2024年12月9日発売の「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」だ。現役最高峰の描画負荷と言ってよい。そのため、このゲームに関しては画質設定を“中”と“低”でテストした。なんせ最高画質設定は推奨GPUがRTX 4090なのだ。最小のシステム要件でもビデオメモリが8GB以上のGPUが指定されている。ビデオメモリが6GB以下のRTX 2060、GTX 1650/1060は起動時にエラーが表示されて、そもそもプレイできない。 なお、アップスケーラー+フレーム生成はDLSSだけが対応。今後FSRにも対応する予定があるようだ。バチカンの一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。 画質“中”設定かつフルHDでもRTX 4060/4060 Tiでようやく平均60fpsを超えられるという強烈な描画負荷だ。WQHDだとまともに描画できなくなる。8GBのビデオメモリでは不足なのだろう。画質“低”でようやくWQHDまで平均60fpsを超えられる。なお、RTX 4060よりも上位になるRTX 4060 Tiのほうがわずかにフレームレートが低いのは、CPUパワー不足かもしれない。プレイ中は全コアがほぼ100%近くで動作し、GPU負荷が100%に到達しないためだ。6コアCPUでは少々厳しいゲームと言える。 カード単体の消費電力も確認しておこう。ビデオカードの消費電力を実測できるNVIDIAの専用キット「PCAT」を使用し、サイバーパンク2077(フルHD解像度)のベンチマーク実行時の平均消費電力を測定した。 カード電力がそのまま結果に出ていると言える。RTX 4060 Tiが低めなのは、サイバーパンク2077のフルHD解像度ではGPU使用率が100%に到達しないため。RTX 4060 Tiのワットパフォーマンスの優秀さが見える部分だ。 ■ 最新ゲームを快適に遊ぶなら新しい世代のGPUに乗り換えを! 画質を調整すれば、RTX 2060やGTX 1650/1060でも快適に遊べるゲームはまだまだ多い。しかし! 描画負荷の高い最新ゲームにおいては事情が異なってくる。画質設定を下げてもまともにプレイできるフレームレートが出ない、そもそもビデオメモリ不足で起動しないという状況も起こる。 2025年は推奨環境としてGeForce RTX 4060やビデオメモリ8GBが含まれる「モンスターハンターワイルズ」の発売も控えている。もし、旧世代のGPUを使っていて自分が遊びたいと思ったゲームが確実に遊べる環境を求めるなら、乗り換えを検討してほしい。
AKIBA PC Hotline!,芹澤 正芳