「103万円の壁引き上げ」のお得さがイマイチ分かりません…。178万円の壁が実現して子どもと私がそれぞれ年150万円パートで働いたら、どれだけ「手取り」が増えるのでしょうか?
2024年11月の衆議院選挙で与党が大敗した影響から、年収の壁の見直しが議論されています。 年収の壁の見直しが実現すれば、労働者の手取り収入が増え、経済の好循環につながる可能性が考えられるでしょう。本記事では、年収の壁が引き上げられるとどうなるのか解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
103万円から178万円に「壁」が上がる影響
そもそも、103万円の壁とは所得税が発生しないラインを指します。基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を合わせた数字で、年収が103万円を越えると所得税が発生します。 また、扶養者が扶養控除を受けるうえでも「103万円の壁」が存在します。つまり、103万円の壁を超えると、本人に所得税が発生するうえに扶養者が扶養控除を受けられなくなり、手取り収入が減少してしまうのです。 103万円から178万円に壁が引き上げられる計算の根拠は、最低賃金の推移にあります。103万円の壁は1995年から現在まで変わっていませんが、最低賃金は1995年から約1.73倍になっています。 そこで、控除合計額も「103万円×1.73=178万円」に引き上げることが議論されているのです。年収の壁が引き上げられると、手取りの所得が増えることに加えて、より労働時間を増やせるメリットがあります。 「もっと働きたいが、年収の壁の影響で働くのを控えざるを得ない」というパートやアルバイト労働者が減り、働く時間を増やすことで、収入の増加につながるでしょう。
母子2人が103万円→178万円に「収入増」で手取りはどれだけ増えるかシミュレーション
国民民主党の試算によると、103万円から178万円に年収の壁が引き上げられると、図表1のように手取り額が増えるとされています。
国民民主党の試算より筆者作成 所得税は累進課税の仕組みなので、年収が高いほど増加する手取り額が大きくなると考えられます。年収300万円の人は、年間で11万3000円手取り額が増えると見込まれるため、生活が少しは楽になるでしょう。 これにより、消費が喚起されれば経済によい影響を与えると考えられます。しかし、社会保険の壁との兼ね合い(106万円の壁と130万円の壁)や、約8兆円の税収減という問題もあり、年収の壁の引き上げが具体化するのはこれからです。 最新のニュースにアンテナを張りながら、自分の働き方や手取り収入にどのような影響があるか、考えてみましょう。
まとめ
現行制度の年収の壁は1995年から変更されておらず、物価や最低賃金の上昇に対応できていません。年収の壁の引き上げに関する議論が生まれるのは当然で、引き上げが実現すれば、多くの労働者にとってメリットとなるでしょう。 しかし、社会保険の壁との兼ね合いや税収減への対応など、さまざまな障壁があるのも事実です。今後のニュースをチェックして、年収の壁がどのように変化するのか注目しましょう。 出典 厚生労働省 『年収の壁について知ろう』 あなたにベストな働き方とは? 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部