【箱根駅伝】"4位以上"が目標だった城西大学は6位 病み上がりだった斎藤将也は、次回も5区に意欲「前人未到の記録を」
昨年苦しんだ桜井優我「区間賞は大きな自信に」
9区で区間賞を獲得した桜井は、1年生のときに8区を走って以来2年ぶりの箱根駅伝となった。昨年は大会直前に気胸を発症して入院し、さらに前半シーズンは両アキレス腱(けん)のけがもあって走れず。その悔しさをぶつける走りとなった。 襷をもらった時点で、後ろの順天堂大学とは16秒差に縮まっていた。櫛部監督からは「1回後ろに抜いてもらい、そこについていく」という戦法を指示されたが、「もったいないなというか、それをするんだったらガンガン行ったほうがいいかなと思いました。なので前半から少しだけ後ろと差をつけられるようにして走って、中盤からは後ろとだいぶ差がついたことがわかったので、次は前を追っていきました。最後中央大と並んで襷リレーができたので、本当によかったです」と自らの走りを振り返る。 今回復路を走った5人のうち、箱根駅伝の出走経験があるのは桜井だけだった。監督からも「桜井が鍵になる」「頼んだぞ」と言われ、「自分がやるしかない」と気合が入った。区間順位は気にせず、前の人が楽をできるように、という思いで走ってつかんだ区間賞。「これまで練習はできていても試合でうまく力を発揮できないことが多かったんですが、箱根駅伝という大きな舞台で力を出せたのはすごく大きな自信になりました」 来年の箱根駅伝では往路で勝負したい、箱根駅伝のみならず前半シーズンから存在感を出していきたいと話す桜井。同級生の中ではキムタイと斎藤の力が抜けており、桜井は10000mのタイムでは同学年で3番目だが、2番手の斎藤とは1分近くの差がある。「もうちょっと詰めたいなと思ってます。将也とヴィクターと一緒に練習できるように頑張りたいです」
櫛部静二監督「そろそろあの金杯が欲しくなった」
櫛部監督はレースを振り返り「ジェットコースターみたいな感じで、目標達成ができなかった分、悔しいですね」とまず口にした。8位から12位までのシード権争いをしている大学の順位が目まぐるしく入れ替わり、8区終了時点で8位との差が1分以内に縮まったときは「胃が痛かったですね」という。 9区の桜井については自信があったが、10区の箱根初出場となった中島が初出場ということもあり、櫛部監督の中で不安材料となっていた。しかし桜井が区間賞の走りで後続と差がつき、シード権争いに加わらずに済んだ、と評価する。 2001年に城西大のコーチに就任してから、指導歴は25年目となる櫛部監督。閉会式を見て、選手たちに「そろそろあの金杯が欲しくなった」という話をしたという。それは、斎藤が口にしていた「三つ優勝を目指す」というところとも重なる。 「まだ皆さんは気づいてないと思うんですけど、今すごくポテンシャルのある選手が多いんですよ」。次に最終学年となる現3年生世代が強く、6区を走った小林など1年生も台頭してきた。さらに今回は走れなかったが、山中達貴(3年、西脇工業)や柴田侑(2年、滋賀学園)なども面白いという。「それがちゃんとかみ合えば、確かに駒澤さんなども強いんですが、全然戦えるかなと思っています」 常に現実的に、冷静に目標を掲げる櫛部監督の言葉に熱がこもった。思わず「より、強くなると」と聞くと「はい、頑張ります」と力強く返ってきた。今回走った選手のうち、7人は来シーズンも残る。101回大会を経て、城西大は頂点を目指していく。