テスラより「自動運転技術」は上…!日本進出を図るウェイモ(グーグル)のロボ・タクシー「驚異の技術力」と、それでも払拭できない「懸念」
全てはグーグルから始まった
2012年、米グーグルがユーチューブ動画で披露した自社開発中の自動運転車は、世界に衝撃を与えた。この動画には視覚障害者が自動運転車に乗って郊外のショッピング・モールに出かける様子が撮影されており、これからの社会における自動運転の意義や重要性が一目瞭然だった。 https://www.youtube.com/watch?v=cdgQpa1pUUE こうしたグーグルの試みはやがてGM(ゼネラルモーターズ)やフォード、さらには日本のトヨタ自動車やドイツのVW(フォルクスワーゲン)など各国の主要メーカーを巻き込んで、世界的な自動運転の開発ブームを巻き起こしていった。 ところが2018年以降、アプリ配車サービス大手の米ウーバーが開発する自動運転車が、公道を試験走行中に歩行者を巻き込む死亡事故を起こすなどトラブルが多発した。これを受けて自動車メーカー各社による自動運転の開発に急ブレーキがかかり、前述のフォードをはじめ世界の主要メーカーは開発競争から次々と撤退していった(公式には表明していないが、実際にはそうである)。 それらの中にあって、大手では米アルファベット傘下のウェイモと(GMの子会社)GMクルーズは粘り強く自動運転の開発を続行した。 両社は米国でも雨や雪の少ない南部のアリゾナ州や西海岸のカリフォルニア州などで、自動運転車を試験走行させて、その技術開発に必要なデータを着々と集めた。 これを経てウェイモとGMクルーズは2022年頃、ほぼ同時にサンフランシスコ市内で有料の自動運転タクシー事業を開始した。当初は緊急事態に備えて運転席に予備ドライバーを待機させてのサービスだったが、2023年頃から(乗客以外には)完全無人のロボット(ロボ)・タクシー・サービスに移行した。 当初、これらのロボ・タクシーに対する米国社会の反応はお世辞にも好意的とは言えなかった。一部の市民活動家らは、サンフランシスコの市街地を走る自動運転車が信号待ち等で停車したときに、そのボンネットに(道路工事などの標識に使われる)コーンを置くことで妨害活動を展開した。自動運転車はボンネットにコーンを置かれると、(何らかの技術的な理由で)停車したまま動かなくなってしまうのだ。 こうした反対運動は、19世紀の産業革命期に労働者らが織機など生産設備を破壊して抗議した「ラッダイト運動」の現代版と見なされている。もちろんボンネットにコーンを置く程度なら、工場の生産設備を破壊するほど過激な行為ではないが、それでも自動運転技術に代表されるAI(人工知能)とそれによる雇用破壊などへの怒りと抗議の象徴と見られた。