夏の高校野球エンディング曲卒業から半年 ── 西浦達雄・原点回帰で新たな一歩
ABC高校野球中継エンディングを28年担当 西浦達雄の生き方 THE PAGE大阪連載 関西発 私の生き方
「音楽もスポーツも似ているところがあって、どちらも『日々鍛錬』が必要ですね」──。シンガーソングライターの西浦達雄(60)は、昨年までABC朝日放送の全国高校野球選手権大会中継のエンディング曲を28年担当し、惜しまれつつ卒業した。高校野球を見たことがある人なら、彼の歌を耳にしている人は多いだろう。そして今月初め、全国ネットのテレビで特集されたことから、価格比較サイトのCD注目ランキングで1位を獲得するなど注目をあびている。そんな西浦の生き方とは?
高校時代に「音楽で食べていく」ことを決心
大阪市東住吉区出身。4人兄弟の末っ子で、父親はオペラ歌手として活躍。「父親が歌う姿をみて、自分も音楽をやりたいなぁ。いや自分もできるという錯覚というか、中学の時に目覚めましたね。そのころ、ギターも弾けるようになって」と当時を振り返る。 中学時代、数学の先生に「おまえは絵とか音楽とかそっちの才能があるから山へこもったらええねん」と言われた。「それを聞いた時『自分はそんなことができるんだ』と思いましたね」。その言葉を胸に、高校では軽音楽部に入部。この時「自分はサラリーマンに向いていない」と考え、音楽で食べていくという決心をした。高校時代の先生も「音楽の道へ進んだらいい」と西浦の音楽活動を後押ししてくれた。 ヤマハポピュラー・ソング・コンテスト(ポプコン)にも出場し、関西決勝まで進んだ。その時、舞台裏では同じく出場していた河島英五さんと「売れたいなぁ」などと雑談していたという。「せっかくの機会」ということもあり、ポプコンで曲をアレンジしてくれた「小坂務とニューソニックオーケストラ」の小坂さんに「音楽の道へ進みたいと」相談。すると「うちに来るか」と言われ、同オーケストラの楽器運びや譜面配り、お茶出しなどを担当した。 「ジャズバンドのもとで18歳から20歳まで、楽器を運んだりしながら演奏家のみなさんに、いろんなことを教えてもらいました。ジャズって音楽の中でもレベルが高く、楽器とかもすごく精通しておられる方が多い。話しを聞きながら音楽業界の表裏を知ることができて。最高の勉強の場でした」 また、小坂さんから自分の娘と音楽で組まないかとオファーされた。その娘とは、後に「あなた」という大ヒット曲を飛ばすシンガーソングライターの小坂明子。「あの時、音楽性が違うと思って断ったんです。後になってびっくりしましたね」と笑顔で当時を振り返る。