全長4.2mで6速MT! レクサス「小さな高級車 LBX」に「304馬力のスポーツ仕様」登場! 高性能「ターボ4WD」×上質インテリア採用! 「MORIZO RR」は“現代版ホットハッチ”か?
ホットすぎる「RR」はもはや別物か
そのLBXに追加されたMORIZO RRの“MORIZO”とは、トヨタ自動車会長、兼トヨタとレクサスのマスタードライバー、さらにレーシングドライバーとしてもかなりの腕前を持つ、自称「ひとりのクルマ好きのおじさん」こと豊田 章男氏のサーキットネーム。 RRは、章男氏がオーナーを務める“ルーキーレーシング”の略です。
LBX MORIZO RRの開発テーマは、「レクサスらしい上質な走りと洗練されたデザインはそのままに、クルマとの対話を楽しみ、思わず笑みがあふれ、非日常の高揚感を味わえるハイパフォーマンスモデル」。 スポーツバージョンを作るなら、単に出力をアップしたり、サスペンションを強化したり、外装をスポーティに仕立てるのは珍しいことではありませんが、MORIZO RRで驚かされるのは、プラットフォームさえも独自設計としていることです。 GA-Bプラットフォームを主体としつつ、リアまわりに「GRヤリス」と同じ「GR-Cプラットフォーム」を流用。LBXとはまさに別物です。 ボディのスポット溶接打点も469箇所増やすなど、徹底した剛性アップが行われています。 パワートレインも刺激的で、最高出力304PSを絞り出すGRヤリスの1.6リッター3気筒ターボエンジン「G16E-GTS」型を搭載。 トランスミッションは8速ATのほか、なんと6速マニュアルの選択も可能です。しかもマニュアル車では、近年では採用が少なくなったパーキングブレーキも手で引くタイプを採用しています。 駆動方式は前後駆動配分を50:50に固定できる電子制御可変型フルタイム4WDで、前後アクスルにはトルセンLSDも備えています。 これらのスペックを見ると、LBX MORIZO RRはもはやスポーツカー。 小さくてパンチのあるモデルといえば、「ホットハッチ」というちょっと懐かしい言葉が思い出されますが、ハッチバック車がコンパクトSUVに置き換わりつつある現在、LBXは「現代のホットハッチ」のひとつなのかもしれません。 ※ ※ ※ 小さな高級車とホットハッチ。古くからある自動車用語ですが、LBX MORIZO RRはそれらを「いまの時代」に翻訳したモデルと言えます。 かつてホットハッチに乗っていた人が、”あの頃”の熱い気持ちを思い出せるような情熱がLBX MORIZO RRにはあります。 価格は650万円オーバーのため決してお買い得ではありませんが、GRヤリスの外観がレーシーすぎる、年齢に合ったクルマ・落ち着いた大人のクルマに乗りたい、でも速くて楽しいクルマが欲しいというユーザーには極めて魅力的な1台ではないでしょうか。 冒頭で記した「レクサスのSUVのスポーツグレードね。ふぅーん」という感想が、覆るクルマなのは間違いないと思います。
遠藤イヅル