東京五輪1年延期で再燃したサッカー森保代表監督の兼任是非
現時点では苦戦を強いられているものの、地力のある韓国、イラン、サウジアラビアは順当に駒を進めてくるはずだ。各グループで首位に立つシリアやイラク、オーストラリアだけでなく、ベトナムや西野朗監督が率いるタイに象徴される、近年力をつけている東南アジア勢も侮れない存在となる。 カタール行きの切符を手にするのは、各グループの上位2位までの4カ国。3位同士がアジアプレーオフへ回り、勝者が大陸間プレーオフ(詳細未定)に臨むだけに、2位以内に入るかどうかで天国と地獄ほどの差が出てくる。東京五輪との「二兎」を追えるような余裕はまったくない。 フル代表とは異なり、五輪を含めた年代別の代表においては、各国協会は海外クラブに所属する選手に対して拘束力をもたない。JFAも例外ではなく、各国のトップカテゴリーのリーグ戦が中断するIMDを利用する形で、それぞれの所属チームと個別に折衝しながらヨーロッパ組を招集してきた。 つまり、フル代表と東京五輪代表の活動はこれから先もほとんどすべてが重複し、兼任の形を継続する以上は、森保監督もどちらかに専念せざるをえなくなる。これまでは五輪代表の監督代行に腹心の横内昭展コーチ(52)をすえ、自らはワールドカップ出場を優先させてフル代表を指揮してきた。 森保監督が五輪代表の指揮を執ったのはわずか4度。2018年8月にインドネシア・ジャカルタで開催されたアジア競技大会の後は、昨年11月のU-22コロンビア代表戦、同12月のU-22ジャマイカ代表戦、そして今年1月にタイで開催されたAFC・U-23選手権しかない。 しかし、現時点におけるベストメンバーをそろえたコロンビア戦で完敗し、ヨーロッパ組をほとんど招集できなかった事情はあるものの、U-23アジア選手権ではまさかのグループリーグ敗退を喫した。横内コーチのもとで準優勝した昨年6月のトゥーロン国際大会、敵地で逆転勝利をもぎ取った昨年10月のU-22ブラジル代表戦とは対照的な結果が続いている。