松井優佳が背負った“卒記クイーン”の重圧 遠かった優勝、地元での待望初Vに安堵「家族にご馳走できました」/ガールズケイリン・インタビュー後編
日々熱き戦いを繰り広げているガールズケイリンの選手たち。今回は124期の卒記クイーンとして2023年にデビューし、今年5月に念願の初優勝を挙げた松井優佳選手(25歳・大阪=124期)にインタビューを行った。抜群の運動神経で中学から自転車競技に打ち込んだエリートだが、競輪選手になるまでには遠回りも経験。インタビュー後編ではエリートクラスで力をつけた養成所時代や、惜敗続きのデビュー後を振り返ってもらった。競輪選手になってからの“現役最強レーサー”と名高い古性優作と練習環境をともにし、G1出場が射程圏に入ってもしっかり現実を見つめていた。
HPD教場で鍛錬 124期卒記クイーンに輝く
一度は自転車競技と距離を置き、就職活動にも励んだ松井優佳だったが、コロナ禍を機に再び競技に本腰を入れる。以前よりタイムが上がり、日本競輪選手養成所を124期で受験すると、無事合格。入所後はエリートクラスであるHPD(ハイパフォーマンスディビジョン)教場のメンバーに選ばれ、鍛錬を積んだ。 厳しいことで知られる養成所だが、同期の仲間たちとの集団生活の中で楽しい思い出を作れたという。 「(HPD教場所属のため)練習メニューが違って、練習場所も違うことも多かった。でも部屋に帰れば同期のみんなと楽しく過ごしました。養成所生活の最後の部屋が熊谷芽緯ちゃんと宇野紅音ちゃん。高卒現役組で年下の2人と3人部屋だったんですが、わちゃわちゃ楽しくやって笑いの絶えない生活でした」 在所成績は2位だったが、養成所1年間の集大成・卒業記念レースは4連勝の完全優勝と最高の結果で締めくくった。 しかしこの「卒業記念クイーン」の肩書が松井に大きくのしかかることになる。
卒記クイーンとして注目集めるも遠い優勝
2023年5月、宇都宮競輪「ルーキーシリーズ」でデビューを迎えた松井優佳。ルーキーだけが出場するシリーズで、予選は連勝でクリアするも、決勝は3着。続く第2戦の松戸、第3戦の福井で決勝2着と、優勝にあと一歩の開催が続いた。 7月からは先輩レーサーとの対戦が始まった。本格デビュー戦は地元近畿地区の向日町で予選は連勝を挙げたが、決勝は4着。9月に行われた同期の成績優秀者が選抜された一戦「ルーキーシリーズプラス(向日町)」でも3着だった。 注目ルーキーとして期待を背負いデビューしたものの、結局12月までの7か月で準優勝が6回と“シルバーコレクター”状態で、なかなか優勝に手が届かなかった。 「厳しい1年目でしたね。それまでの競技生活でも、最初でバーンと目立って、そのあとは… みたいなことはありました。高校時代もそうだったから慣れてはいたのですけど。注目されるのは得意じゃないのかもしれません…」