松井優佳が背負った“卒記クイーン”の重圧 遠かった優勝、地元での待望初Vに安堵「家族にご馳走できました」/ガールズケイリン・インタビュー後編
地元でようやくつかんだ初優勝
今年に入ってからも惜しい開催は続いた。4月高知のフレッシュクイーンでは、人生初の失格を喫してしまう。同月久留米のG1・オールガールズクラシックの前座戦も準優勝と悔しい思いをした。 その翌月、5月の岸和田でようやく待望の初優勝を達成した。 「地元の岸和田で優勝できてうれしかった。3月にも岸和田に呼んでもらっていたけど、優勝できなくて…。今度こそ優勝したいと気持ちを強く持って走ることができて、勝ててよかったです」と地元での初優勝達成を喜んだ。
S班・古性優作ら属する恵まれた練習環境
“卒記クイーン”の看板を背負った松井にとって、初優勝まで意外にも時間がかかってしまったが、苦しい時期が続いても腐ることはなかった。 練習環境の良さは申し分ない。古性優作を筆頭に強い選手が多い大阪支部に所属し、ホームバンクの岸和田競輪場にはウエートトレーニング施設もそろっている。強くなるためには抜群の環境だ。 「大阪の先輩たちはみんな優しいです。分からないことを聞けば答えてくれるし、練習が楽しくできる。古性さんは自分が自転車を新しくしたときにはセッティングを見てくれる。近畿の選手が岸和田で合宿することも多くて、ガールズケイリンの選手もいろんな選手が来るので刺激になります。たくさん話が聞けてすごくためになるんです」
G1出場近づくも現実直視「自分に足りないものある」
岸和田は毎年6月にG1・高松宮記念杯とパールカップを実施する競輪場だ。着実に結果を残している松井も来年以降はG1出場が視野に入ってくる。しかし、本人は現実をしっかり見つめている。 「今の実力でG1に出ても自信を持って走れない。この前岸和田に吉川美穂さんと久米詩ちゃんが練習に来て一緒にもがいたけど、脚力の差を感じました。刺激になりました」 松戸と久留米でオールガールズクラシックの前座戦に参加した際には、G1に出場する選手たちとの意識の違いを肌で感じたという。 「トップクラスの選手は自信を持ってレースに臨んでいる印象でした。ウォーミングアップのときから気持ちが入っているのを感じましたし、レース後の自転車整備にも時間をかけていた。今までの自分には足りない部分だったので、見習わないと。今年のパールカップは関係者席で見た。いずれは出られるように頑張ります」
ガールズケイリン選手は“天職”、親孝行も
遠回りこそしたが、松井優佳にとってガールズケイリン選手は天職だ。 「競輪選手になれて本当によかったと思います。練習を頑張って、レースでいい結果を残せばよりよい賞金がもらえますし、やりがいのある仕事だと思います。デビューしたときと初優勝のときは、家族に焼肉をご馳走することができました」 憧れの存在はガールズケイリン界をけん引し続ける児玉碧衣だ。 「高校生のとき、愛媛国体で一緒に走った児玉碧衣さんがすごく格好良かった。児玉さんのような自力を出していけるように頑張りたいです」 松井優佳の挑戦はまだまだ始まったばかり。天性の運動神経の良さを発揮して、トップの舞台へ駆け上がる!