「最も過小評価されているドライバー」に選ばれた角田裕毅のRB残留は是か否か? 来季のレッドブル移籍を妨げた「確証バイアス」の存在
いくつもの疑問が浮かんでは消え、いまもそれは人々の頭の中で浮遊している。 12月19日、レッドブルが2025年にマックス・フェルスタッペンのチームメートとしてRBのリアム・ローソンを起用すると発表した。この結果、ローソンのチームメートだった角田裕毅のレッドブル移籍という希望は露と消えた。 【この記事の写真】レッドブルのスーツは似合っていたけど…なテスト写真、ファンにはこんなに愛されて、ピンクのセットアップがかわいすぎ! ネイマールとも仲良し…2024年の角田裕毅の素顔を写真で見る なぜ角田はレッドブルのドライバーに選ばれなかったのか? その答えを導き出すためには、ローソンが角田のチームメートになった過程を辿る必要がある。 24年開幕時点で角田のチームメートはローソンではなく、ダニエル・リカルドだった。親チームのレッドブルにとって、リカルドは将来が不透明のセルジオ・ペレスの後任として適材だった。元々レッドブル・ジュニア出身のリカルドは、14年から18年まで5年間、レッドブルに在籍したかつての仲間であるだけでなく、8度の優勝経験という実績があるからだ。
ローソン昇格は既定路線だったのか
23年の7月に不調のニック・デ・フリースに代わって角田のチームメートとなったリカルドに、レッドブル首脳陣は準備期間を与えた。ところが24年シーズンが開幕してもなお、リカルドのペースが上がってこない。そんななか、レッドブルは24年の6月にペレスと25年以降の契約を更新。直後に角田が25年もRBに残留することが発表される。この事実は、レッドブルのドライバーラインアップ構想の中に、そもそも角田が存在していないことを意味していた。そのことはリカルドとローソンの交代劇によって、より鮮明となる。 リカルドがF1を去ったのはシンガポールGPの後だった。シンガポールGP終了時点での獲得ポイントは、角田の22点に対してリカルドが12点と、途中解雇されるほどひどくはなかった。参考までにRBのライバルチームの成績を見れば、ハースはニコ・ヒュルケンベルグの24点に対して、チームメートのケビン・マグヌッセンが6点。アルピーヌはピエール・ガスリーの8点に対して、エステバン・オコンが5点だった。 そう考えると、リカルドの途中解雇は単なる成績不振というよりも、ローソンにシートを譲ることが目的だったのではないかと考えられる。というのも、後半戦に入るとペレスの不振は一層深刻になり、レッドブル首脳陣はリカルドに代わるドライバーを早急に準備せねばならない状況となっていたからだ。その候補としてローソンはRBに加わった。ところが角田は、コース上の戦いでローソンを上回った。予選成績では6戦すべてで上位を獲得し、レースの獲得ポイントではローソンの4点に対して8点を獲得した。 イギリスのインターネットメディア『The Race』に寄稿するジャーナリストのスコット・ミッチェル・マルムはこう語る。 「多くの読者からレッドブルのドライバー選考について疑問が寄せられ、私も何度かクリスチャン・ホーナー代表やヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)にインタビューを行った。その中で感じたことは、レッドブルの首脳陣のユウキに対する評価には“確証バイアス”がかかっていることだった」
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