4番降格の阪神・大山が意地のサヨナラ逆転3ランも「遅すぎた決断」を巡って賛否
阪神の大山悠輔が10日、京セラドームで行われた広島戦で3-5で迎えた9回無死一、二塁からサヨナラ逆転3ランを放ちチームの危機を救った。この日、大山は開幕から106試合目にして4番から降格し6番に入った。「悔しい気持ちがあった」という大山は、人生初のサヨナラ本塁打で意地を見せた。矢野監督は4番復帰を「奪い取れ」という方針を明らかにしたが、ネット上では今更の方針転換に「遅すぎた」の声も出ている。
「4番は育てるものではなく奪いとるもの」
広島の守護神、フランソワの147キロのストレートだった。 「チャンスだったので、とにかくランナーを返すことだけを考えて打席に入った。ストレートが速かったのでストレートを待っていた。それをしっかりと捉えることができてよかったと思います」 読み通りに振り切った打球はライト最前列へ。鈴木誠也がジャンプしたが届かない。 2点ビハインドで迎えた9回無死一、二塁からのサヨナラ逆転3ラン。「入ってくれと思って走った」という大山は一塁を回ったところで右手を突き上げた。 打球がスタンドに消えた瞬間の気持ちは「覚えていない」という。 サヨナラ本塁打はプロ入り初。「(野球)人生で初です」とは大山の説明。連敗を覚悟していた京セラドームの虎党たちは興奮して叫び、立ち上がっていた。 「嬉しいのひとことです」 お立ち台で大山は多くを語ろうとしなかった。 この日、開幕106試合目にして4番から降格となった。ここ10試合で39打数6安打と低迷し、しかも、3位の広島に前夜、惨敗して6.5差に広がり、矢野監督には「チーム全体として何かを変えていかねばならない」という狙いもあって4番から6番に打順を変えた。 「悔しい気持ちはありましたけど、6番で出ている以上、その打席でやるだけ。自分でしっかりやるべきことをやりました」 大山の意地が打たせたのだろう。 アナウンサーから「ファンは、もう一度、4番・大山のコールを聞ける日を待っています」と振られ少し目を潤ませた。 だが、この1試合だけで、めでたし、めでたしとはいかない。ネット上では、大山の一発を賛美する声と共に「4番を外すのは遅すぎた」「4番のプレッシャーが相当あったのだろう」「すぐに4番に戻さないで欲しい」などと矢野監督の決断を巡って様々な議論も起きている。 試合後、矢野監督は、「そんなにコロコロ変えない」と、今後も4番を外す方針を明らかにした。そして「今度は自分の力で(4番を)奪い取ってほしい」と続けた。 「4番とエースは育てられない」 名将、野村克也氏が阪神監督時代に故・久万オーナーに説いた言葉だ。 「4番は育てるものではなく奪いとるもの」とも力説した。 それが“勝てるチーム”の4番の原則だと思う。