ダルビッシュを放出した球団の姿勢にレ軍に残された3000安打男が抗議
トレード期限の数分前にドジャースへの1対3トレードが決定した前レンジャーズのダルビッシュ有(30)の移籍が両チームに大きな波紋を広げている。 レンジャーズの地元紙ダラスモーニングニュース電子版は、「レンジャーズが進み出した道はベルトレがチームを出ていくことにもつながるのか」という衝撃的な記事を掲載。チームの主力であるエイドリアン・ベルトレ(38)の、ダルビッシュを放出した球団に対する不満や抗議とも取れるコメントを伝えた。 チームで4番を任されているベルトレは、ダルビッシュのトレードが成立する前日の7月30日のオリオールズ戦で、メジャー史上31人目の通算3000安打を達成した。メジャーの3000安打の達成は、昨年イチローが達成して以来となる金字塔だった。ベルトレは、チームメートやファンから大きな拍手と歓声が送られ、ダルビッシュも、その祝福の輪のなかにいた。 しかし、史上最強打者のひとりとして歴史に名を刻んだ翌日に、ダルビッシュがトレードされ、主砲ベルトレの幸せな気持ちは、一転したという。 記事は、「エイドリアン・ベルトレは理解している。野球のビジネスは冷血にもなり得ることを。歴史を作り祝福をされた次には、自分自身が歴史になってしまうかもしれないことを」と書き出された。 ダルビッシュ放出で、チーム内におけるベルトレの存在価値も大きく変わることになった。ダルビッシュのトレードは、レンジャーズが今シーズンのプレーオフ進出をあきらめ、チーム再建策に方向変換したことを意味するからだ。 この記事を書いたエバン・グラント記者は、「38歳のベルトレは、自身の年齢を知っている。殿堂入りにふさわしい成績を残して選手生活を終わらせなければいけないことを理解している」と述べている。 ポストシーズン進出をあきらめ、来季に向けて舵を切ったレンジャーズでは、ベルトレが望む最後のピースであるワールドシリーズ制覇は、ほぼ絶望的だ。 ダルビッシュだけでなく、捕手のルクロイら主力を放出したことで、少なくとも今季の残り試合の大きな期待はできない。ベルトレは、1998年に19歳でメジャーデビューして以来、メジャーを代表する強打者として活躍してきたが、ワールドシリーズ優勝は果たしていない。2011年には、ワールドシリーズ進出を果たしたが、カージナルスに敗れている。