3000人以上の最期と向き合った緩和医療医が明かす、多くの患者が後悔したことは?「思い残すことはない」と言い切った患者の共通点は<準備>を進めていたこと
◆食生活が偏らない程度に 3 好きなものを食べておかなかったこと 病気になると、味覚が変わることがあります。死が迫ると、だいたい食欲は落ちます。好物を食べても、同じように味わえないから、食べようと思ってもその気にならないのです。自分の好物を食べてもまったく美味しくなくなってしまっていることさえあります。 終末期において、無理やり食べさせる必要はありません。無理に食べたとしても、それによって余命が延びることはほとんどないからです。 だから、食べられるものだけ、美味しいと思うものだけ食べればいいのです。本人が食べたくないものを食べろと押しつけるより、彼らが本当に欲しいものを望んだときにそれを味わってもらうことが大切なのです。 これまで美味しいと思えなかったものが美味しくなることもありますから、希望は捨てるべきではありません。がんの終末期に炭酸飲料やカップラーメン、甘いものを好むようになる人もいます。 アイスクリームやプリン、ゼリーなどは終末期で食欲がかなり低下していても食べられることがあります。ガリガリ君を好まれる方が結構いることも知られるようになって来ました。 ただ味覚が変わることは多く、以前のように楽しめないこともあるのは事実です。 好きなものは元気なうちに、食生活が偏らない程度に食べておいた方が後悔は少ないでしょう。 ※本稿は、『死に方のダンドリ 将来、すんなり逝くための8つの準備』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。
大津秀一