提案資料づくりがとにかく苦手だった… ライオンのブランディング担当が語る「不得意を克服するヒント」
その頃、「サスティナビリティ」や「SDGs」という言葉もよく聞かれるようになった。日用品は購入する機会が多いため、プラスチックなどを減らすことができれば環境にも大きなインパクトになる。こうした背景から、日用品を扱うメーカーの新しいブランドコミュニケーションの形を推進していくのは、やりがいや成長につながると考えた長氏はライオンに入社した。
■ [ルール4] 新しいことに事例はない。常に業界のトップランナーを目指す ライオンに入社して最初に任された仕事は、コーポレートサイトのリニューアルだ。社内の多くの部門と連携を取る必要があるが、コロナ禍の入社でリモートワークが基本だったため他の社員と会うことができず、社内に知り合いは誰もいない状況だった。「リニューアルを推進していくには、いかに短期間で社員に認めてもらい、プロジェクトに協力してもらうかが重要だ」そう思った長氏だったが、関係性を構築するのに役に立ったのは意外なことだった。
┌────────── 前職の資生堂は150年以上、ライオンも130年以上の歴史がある会社です。私は会社の歴史を知るのが好きで、ライオンの歴史が書かれた『120年史』という社史の存在を知り、2週間ほどで読みました。そこで知ったライオンの歴史で感銘を受けたことなどを話したところ、『入社まもないのによく知っているね』と驚かれました。プロパー社員の方は愛社精神が強いので、ライオンの歴史に興味をもっている私を、部外者ではなく仲間として捉えてくれたようです(長氏) └──────────
とはいえ、中途入社の長氏がリニューアルを担当することへの反発は多少なりともあった。リニューアルの方向性を関連部門に相談に行っても、すんなり受け止めてもらえないこともあったという。しかし、資生堂でFacebookを運営したときのように、ひとつずつ丁寧に説明して少しずつ人間関係を築いていき、長氏の理解者が一人また一人と増えていった。