提案資料づくりがとにかく苦手だった… ライオンのブランディング担当が語る「不得意を克服するヒント」
異動から1年後、Facebookの企業アカウント立ち上げの提案書を上司と共に作り上げ、無事に役員の承認が下りた。長氏はようやくやりたかった仕事の一歩を踏み出した。
■ [マイルール2] 成功体験の積み重ねで、過去の挫折をポジティブに変える 公式Facebookアカウントが開設されて、関連部門から投稿する情報を集めるためにFacebook編集会議が毎月開催されることになった。意気込む長氏だったが、またしても壁にぶつかる。各部署からネタを引き出したり、協力体制をつくることが難しかったのだ。 ┌────────── 当時、私は20代で他部門の方たちはみんな年上のベテラン社員ばかりでした。Facebookを使ったことのない人もいて、FacebookがどんなSNSなのかを説明する必要もありました。SNSの投稿で大事なのは写真です。いかにも宣材写真だと反響が期待できないので、なるべく手づくり感のある写真を撮影してきてほしいとお願いしました。しかし、『研究所や工場は遠いのに、なぜ撮影しに行かなければいけないんだ』と受け入れてもらえなかったんです(長氏) └────────── 関係部署から理解が得られず、編集会議のファシリテーションにも苦労した。しかし、困ってばかりもいられない。長氏は苦手なファシリテーションを学ぼうと考え、人事部が開催するファシリテーション研修にも参加した。そこで気付いたのは、自分の意識変革が必要であることだった。 ┌────────── 主担当の業務の場合、自分の意見に賛同してほしいという気持ちを持ってしまいがちです。でも、Facebookの運用は皆さんと協力して一緒に作っていく必要がある。そう考えたら、謙虚な気持ちを常に持って、依頼される側がどう思うのかを考えることが大事だと気付いたんです。依頼をするときは、『WHY(理由)』をしっかり説明することを意識するようにしました(長氏) └────────── 具体的には、Facebookに現場感のある写真と宣材写真を投稿したら、どのくらい反応が違うかという数値を見せて、撮影するカメラは一眼レフではなくスマートフォンで大丈夫だと丁寧に説明した。「せっかく研究所や工場の取り組みを広報するなら、リアル感や素人撮影ならではの温かみが出る写真の方が伝わると思います」と話してみると、相手も納得して動いてくれるようになった。 ┌────────── 撮影やネタの提供などをしてもらった投稿の反応がよかったときはすぐにフィードバックして、『この方向性は間違っていない』と感じてもらうことを大事にしました。私の意識が変わって、出席者一人ひとりの性格や言動、立場を少しずつ理解できるようになると、『この流れで、この人に意見を言ってもらうといいかも』と会議をうまくまわせるようになっていきました(長氏) └────────── 資料作成、ファシリテーション。長氏は苦手だと感じたことに向き合い、むしろ得意分野に変えてきた。その原動力はどこから来るのだろうか。