提案資料づくりがとにかく苦手だった… ライオンのブランディング担当が語る「不得意を克服するヒント」
┌────────── 私は自分を能力のある人間だと思ったことがないんです。学生時代は勉強が得意じゃなくて高校受験に失敗して、希望の学校には入れませんでした。でも、その学校で勉強を頑張ってテストで高得点が取れたらクラスメートから『勉強を教えて』と言われるようになったんです。初めての経験がうれしくて、自分もやればできるかもしれないと思って頑張ったら高1の時に学年で1位の成績を取ることができました。 でも、大学はストレートで受からずに浪人しました。自分の中では失敗体験です。ただ、過去の意味はこれからの成果次第で変えることができる。仕事などで成果を積み重ねて『失敗があったから、今の自分がある』と言えるようにしたいと思っています(長氏) └──────────
「プロダクト」ブランディングから「コーポレート」ブランディングへ
■ [ルール3] 予測不能な時代に備え、自分の市場価値を高める 資生堂では、Facebookの運営や企業サイトなどのオウンドメディアを担当し、その後は商品のマーケティング領域でブランドPRや戦略PRの推進など自社の信頼・評判獲得するアーンドメディア、デジタルやTV・新聞広告などペイドメディアのバイイングおよびコミュニケーション戦略の立案など、いわゆるトリプルメディアすべてを経験した。 ┌────────── 当時の上司が、私にさまざまなことを経験させようとしてくれました。今思えば、成長のレールを敷いてもらっていたと思います(長氏) └────────── しかし、2020年にコロナ禍が訪れる。先行きの見えない状態が長く続き、マーケティング施策がすべて止まったブランドもあった。1年先の戦略を立てながらも、「1年後に本当に予算があるかわからない」という状態でもあった。 ┌────────── この状態が1~2年続いたら、自分は何の成長もないまま時間だけが過ぎていくのか。そう思ったときに初めて、自分が強く成長を求めていることに気付いたんです。これまでは敷いてもらったレールを歩んできたけど、これからは自分の成長に向けて自らレールを敷いていこう。そう思って転職活動をはじめました(長氏) └────────── 長氏はメーカーや広告代理店などを中心に転職先を探した。資生堂とライオンは共同で物流協業していたり、ライオン出身の人が資生堂に多くいたこと、業界も近しいことから良いイメージをもっていた。そして、ライオンの公式サイトを確認したところ、今後オウンドメディアやコーポレートブランディングに力を入れていくため、採用を行っていることを知った。 ┌────────── 当時、私は『プロダクトブランディング』よりも『コーポレートブランディング』の重要性を感じていました。コロナ禍で生活者が企業の透明性や社会的責任に目を向け始めていたからです。たとえば、化粧品は機能面だけでなく情緒的な世界観も重要なため、コーポレートよりもプロダクトのブランディングを優先します。そうなると、知名度のあるブランドでもどこのメーカーの商品なのかが生活者に認知されない弊害もありました。さまざまな商品がコモディティ化する中、今後、生活者が商品を選ぶときに『どこのメーカー』なのかを意識して購買されるケースが広がっていくだろう、だからこそ企業はコーポレートブランディングを強化していかなければならないと思っていました(長氏) └──────────