安倍元首相が「ものすごい教養人」と称賛した、麻生太郎氏の「驚きの国会答弁」
神武天皇、教育勅語、万世一系、八紘一宇……。私たち日本人は、「戦前の日本」を知る上で重要なこれらの言葉を、どこまで理解できているでしょうか? 【写真】安倍元首相が「ものすごい教養人」と称賛した、麻生太郎氏の驚きの国会答弁 右派は「美しい国」だと誇り、左派は「暗黒の時代」として恐れる。さまざまな見方がされる「戦前日本」の本当の姿を理解することは、日本人に必須の教養と言えます。 歴史研究者・辻田真佐憲氏が、「戦前とは何だったのか?」をわかりやすく解説します。 ※本記事は辻田真佐憲『「戦前」の正体』(講談社現代新書、2023年)から抜粋・編集したものです。
国会で力説された「八紘一宇」
神武天皇。この伝説上の初代天皇は、ふしぎな吸引力をもっている。霊峰富士がそのふもとに新興宗教を集めてしまうように、しばしばその名のもとに奇妙な発言や斜め上の想像力を招き寄せてしまう。 2015(平成27)年3月、三原じゅん子参院議員が、国会で神武天皇が唱えたとされる八紘一宇という理念について突如として「日本が建国以来大切にしてきた価値観」「世界が一家族のようにむつみ合うこと」などと力説し、答弁にたった麻生太郎財相を驚かせたのは記憶に新しい。 麻生 (前略)これは、今でも宮崎県に行かれると八紘一宇の塔というのは建っております。宮崎県の人いない。八紘一宇の塔あるだろう。知ってるかどうか知らないけど。ねえ、福島さんでも知っている、宮崎県に関係ないけど。八紘一宇っていうのはそういうものだったんですよ。(中略) これは戦前の中で出た歌の中でもいろいろ、「往け八紘を宇(いえ)となし」とかいろいろ歌もありますけれども、(中略)こういった考え方をお持ちの方が三原先生みたいな世代におられるのにちょっと正直驚いたのが実感です。 「宮崎県に関係ない」と言われた福島瑞穂参院議員はその八紘一宇の塔が立っている宮崎市内の中高出身なのだが、それはおくとして、八紘一宇と聞いてこうスラスラと「愛国行進曲」の一節(往け八紘を宇となし)まで出てくるのは、いまや日本人のなかでもかなり珍しいだろう。