待望の新型12気筒フェラーリが登場! これぞ憧れのスーパーカーたる魅力を探る
マンツォーニ氏の説明にあるように、エンジニアリングとデザイン、ともに高いところを目指すのがフェラーリのクルマづくり。なぜホイールベースを短くしたかというと「サーキットでのコーナリングスピードを高めるため」と、技術部門を統括するジャンマリア・フルゼンツィ氏は説明。 ちょっとマニアックなことを書きますが、812スーパーファストよりホイールベースは20mm短縮。加えて、4WSを搭載しています。いわゆる後輪操舵機構ですね。12チリンドリでは、左右輪が別々の角度で動きます。812コンペティツィオーネと同様のシステムです。
「これでコーナリング時はホイールベースが50mm短くなったのと同じ効果が得られ、よりすばやい回頭性がもたらされます」とフルゼンツィ氏。同時に最高出力は上がっているし、エンジン自体が軽量化。フェラーリの意地を感じさせるではありませんか。 一方、長い距離を快適に移動できるのがGT(グラントゥーリズモ)ですから、12チリンドリでは、後輪操舵機構によって実際より長いホイールベースを持った場合と同じだけの安定性が確保されます。
インテリアのコンセプトは、デュアルコックピット
もうひとつユニークなのがリアのスポイラー。先に触れたとおりデルタ翼型のリアウインドウのデザインを壊さず、かつ荷室へのアクセスをよくするため、一体型をやめ、左右に2基、小さなものがとりつけられました。それが電動で最大10度まで立ち上がり、高速で車体が浮き上がるのを防ぐ効果をもたらします。
インテリアの見どころは、液晶パネルが大型化したこと。それと、運転席と助手席、シートの下の床面にもシートと同じ色の処理がなされ、印象としては繭に包まれているかのようです。
赤いシートだと赤いフロアが選べるし、なんと左右で別の色にすることも可能。デュアルコクピットなるデザインコンセプトです。
12気筒を諦めないことの証が、12チリンドリという存在
「12気筒モデルは。欧州の規制などあって、これで打ち止めだろう、って訊かれることもありますが、フェラーリでは先の計画について言わないのがポリシーです。ただ、この12気筒は欧州の規制をクリアしているので、少なくとも2026年まではなんの問題もなく、つくり続けられます。12気筒を諦めるメーカーが多くなっているなかで、私たちは、12気筒の開発の手を休めていません。12チリンドリという車名はその証でもあります」