今年の飲食料品値上げ、3万2396品目 過去30年で記録的「ラッシュ」 2024年の値上げは約4000品目、今年の6割減ペース
2023年は過去30年で例を見ない記録的値上げラッシュの1年
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした飲食料品の値上げは、2023年の累計で3万2396品目となった。当初想定された年3万5000品目を下回ったものの、22年累計の2万5768品目を6628品目・25.7%上回った。2年連続で全食品分野において一斉に値上げが行われた例は近年例がないほか、年間3万品目を超える水準はバブル崩壊以後の過去30年間でも例を見ない規模となり、総じて「記録的な値上げラッシュの1年」となった。 2023年の値上げを月別にみると、2月には冷凍食品やかまぼこなど練り製品、つゆ・だし製品、菓子類など計5639品目で値上げとなり、23年中では最多、22年1月以降でも2番目に多い水準だった。「急激な円安進行」を決定打とした22年中の原材料コスト高に加え、電気・ガスなどのエネルギーコスト、包装資材や物流費の上昇分を機動的に製品価格へ反映する動きが続いたことで、1カ月当たり2000~3000品目前後の値上げが常態化した。 ただ、8月以降は前年同月を下回る水準が続き、ハム・ソーセージやアイスなど幅広い食品が値上げした10月(4758品目)も前年同月に比べ4割減、11月は過去2年間で最少となる139品目となった。23年の値上げラッシュは10月を最後にピークアウトした。
この間、一連の食品値上げに対して消費者の購買力が追い付かなくなり、買い控えをはじめ「値上げ疲れ」が食品の売り上げにも影響を及ぼし始めた。帝国データバンクの試算では、2人以上世帯で月3685円分の食費が「節約」によって抑制されたことが明らかになった。 食品スーパーでも低価格商品やプライベートブランド(PB)への人気集中、1人当たりの購入個数が減少するといった消費行動の変化や、一部の食品では値上げ後に販売数量が減少するといった影響もみられた。そのため、追加での値上げ判断を見送ったケースが多くみられ、結果的に23年後半以降の値上げの勢いは大幅に減速した。