「生まれつき難聴」「英語がまったく話せない」私が“子連れ米国移住”した理由|VERY
写真:二人の娘と一緒に。子どもたちの成長に日々驚いています ──娘さんたちは突然のアメリカ生活にもすっかり馴染んでいるようですが、日本を恋しがりはしませんか? 日本の友達には会いたいようですが、アメリカ生活も楽しんでいるようです。ただ、食事だけは「日本のほうが美味しかった!」と言っています。でもある日、学校に持参するお弁当におにぎりを入れたら、次女に「次からはライスボールは入れないで」と言われてしまい……。おにぎりが珍しい学校の友だちにからかわれたようなんです。アメリカでは、お弁当が「ポテトチップスとりんご」なんて子もいたりするので、日本のお弁当は浮いてしまうようです。 お弁当のおかずには日々、頭を悩ませますが、ランチボックスの内容もすっかりアメリカナイズされるほど馴染んでくれて、親としてはひと安心です。骨の難病がある長女は定期的に通院が必要ですが、現地で主治医も見つけ、今では日本でもアメリカでも診ていただいています。
英語には大苦戦。それでも「移住してよかった!」
──牧野さんご自身のアメリカでの生活はどうですか? 買い物や運転などの日常生活に関しては、慣れてしまえばなんとかなるし、仕事はほぼ日本語で行っているので問題ないのですが、英会話に関しては、正直めちゃくちゃ苦労しています。渡米前に「1年後、これくらいはしゃべれるようになっているだろうな」と想定したレベルには、現時点ではまったく届いていません。 私は子どもの頃から、相手の口の動きを読み取って言葉を理解する「読唇」という方法でコミュニケーションをとってきましたが、英語は舌や喉を使う発音も多いので、口先の動きだけで理解するのが難しいんです。音声文字認識アプリを使えばコミュニケーションを取ることはできますが、やっぱり英語で直接、会話できるようになりたいです。 ──大きな挑戦となったアメリカ移住ですが、「期限はいつまで」と決めての渡米だったのでしょうか? 「とりあえず行ってみよう」という感覚で始まったアメリカ生活なので、いつまで続けるかは今のところ未定です。ビザは5年間有効なので、まずは5年。ビジネスもどうなるかわからないので流れに身を任せます。英語に苦戦している米国での生活ですが、想定外だったのは娘たちの成長です。私はついつい先回りをして世話を焼いてしまうタイプだったのですが、こちらでは娘たちに任せることが多くなりました。 たとえば、お店に行って欲しい物が見つからないときにも、「自分で店員さんに聞いてみて」とだけ伝え、私は助けません。先日も靴を買いに行ったのですが、靴は自分のサイズを出してもらう必要がありますよね? そのやり取りも、娘たち自身で行わせています。今となっては、私より彼女たちのほうが英語が聞き取れるので、「そのほうが早い」と思っているのかもしれませんが……。おかげでアメリカに来てから、長女も次女もぐっと自立した実感があります。 ──何事にもチャレンジを続けてきた牧野さんですが、今後の目標があったら教えてください。 私は、「できない理由を探すのではなく、できる方法を探してみる」をモットーに、これまでの人生を駆け抜けてきたように思います。幼馴染たちと一緒に地域の学校に通い、大学では心理学を学んで、海外旅行も、就職も起業も、やりたいことには何にでもチャレンジしてきました。 2022年からのアメリカ暮らしでは、予想以上に英語に苦戦を強いられていますが、それもいつかはきっとできるようになると信じているんです。だから今の目標は、5年、10年かかってでも、英語でコミュニケーションをとれるようになること。そして、そんなあきらめない母の背中を、娘たちにも見せていきたいなと思っています。