“天才少年”が湘南で注ぐサッカー愛 明かす幼少期の苦労「周りから嫉妬」「普通の人とは違った」【インタビュー】
石井は小学生時代に取材を受けるなど注目、その後湘南U-15へ加入しプロの道へ
J1湘南ベルマーレでプロ1年目のFW石井久継は、小学生時代にも“倉敷の至宝”として取材されるほどの注目を集めた。サッカーが大好きな少年はその後、湘南ジュニアユースへと飛び込み、現在19歳へと成長しプロへ。「77」の背番号を背負い、模索の毎日を送っている。そんな石井の学生時代のさまざまな苦労や、現在のクラブを選んだ理由、今もなお邁進する姿に迫った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也) 【実際の映像】「これ凄い」 天才小学生だった逸材18歳…Jリーグ初ゴールに衝撃 ◇ ◇ ◇ 2022年より湘南U-18在籍ながらトップチームに2種登録された石井。翌年の第103回天皇杯の3回戦、ファジアーノ岡山との一戦で初ゴールを記録した。24年よりプロとして正式に昇格すると、24年7月6日のJ1リーグ第22節浦和レッズ戦では途中投入からJ初得点。3-2の劇的勝利へつながった貴重な1点は、サポーターの脳裏にも鮮烈に焼き付いている。 そんな石井は、岡山県倉敷市出身。小学生当時から将来の日本代表候補としてメディアの脚光を浴びる。幼い頃からこうした取材を受ける選手には必ず、さまざまな苦労ももちろんあった。 「テレビとか出て、当時は知名度が実力と比例していなかったと思うんですけど……。周りからの嫉妬だったり、味方から見られる目とかも全然普通の人とは違いました」 そう過去を振り返った石井は「とにかくサッカーが好き」という言葉を繰り返し、自身の原動力を明かす。技術向上への練習を怠らず身に着けた才能を武器に、着実に上へ、さらに上へと先を目指していった。 周囲のさまざまな視線を受けながら「(小学生の頃は同僚などを)常にライバル意識はしていましたし、どうにかもっと上のレベルでやりたいという風にも常に思っていました」といった気概を胸に、地元のクラブから広島の福山ローザス・セレソンへと挑戦。「そのチームで一番になるという目標」を掲げて努力を継続する。その先で掴んだのが、湘南U-15への道だった。 中学へ上がると同時に神奈川へ。4人家族の石井は、重大な決断の過去を「誰が神奈川へ付いていくのかとか色々ありました」と振り返る。最後まで悩んでいた母親を「行きたい」という自分の意志で説得。そこから6年間、母親が石井をサポートしてくれた。家族の温かさには、本人も感謝の思いをずっと持ち続けている。 湘南へ加入した理由について石井は「初めて練習参加させてもらった時に、すごいサッカーしていてなんか楽しいなと感じたんです」と、心が動かされた瞬間を回想。いざ加入すると「味方のチームメイトも上手いしすごい優しい」と実感し、サッカーに打ち込める環境を喜んだ。 「小学校までは結構ライバル視されてきました。相手にはもちろんそうですけど、チームメイトからも……。普段一緒にいても遊ぶこともなかったです。湘南に来て本当にチームメイトには友達というか、心的にもぐっと来たところもありましたし、本当に早くベルマーレでサッカーがしたい。自分も成長できると思っていましたね」 「ここでプロサッカー選手になりたい」……そう強く思う理由を石井は赤裸々に話してくれた。クラブへの愛は言葉の節々からも、十二分に伝わってくるものがある。