「もう60年プロ野球界におります」巨人OB会総会で王貞治氏があいさつ 阿部巨人へ金言「丁寧さが自分を支える」
巨人のOB会総会・懇親会が7日、都内のホテルで行われ、通算868本塁打の世界記録を持つ王貞治氏(84)=ソフトバンク球団会長=から阿部巨人に熱いエールが送られた。冒頭の壇上あいさつで阿部慎之助監督(45)ら現コーチ、首脳陣を前に、投手や守りの大切さを説き、指導する上で「丁寧」をキーワードとするように要望した。来季の巨人とソフトバンクの日本シリーズ実現を願い、金言を授けた。 壇上でマイクの前に立った王さんが力強い言葉で思いを語った。「私もジャイアンツに30年、ホークスに30年で、もう60年プロ野球界におります。今の私の野球に対する思いというのはただ一つですね。やはり丁寧さというのが最終的に自分を支えるバックボーンになるんじゃないかと思います」。OBの前でレジェンドが熱く持論を展開した。 会場の円卓では阿部監督ら現在のコーチ陣が着席して耳を傾けていた。王さんは指導する上で大切なキーワードとして「丁寧さ」を挙げ、具体的に説明した。 「球際の丁寧さ、バットを振るのでも、ただただ力いっぱい振ればいいんじゃなくて、丁寧にボールとバットを結びつける。そういったことがやはりいいんじゃないかと。つい最近になってそう思うようになりました。コーチの皆さんには丁寧に、というのを頭に一つ入れてほしい」 現役時代は9年連続日本一の「V9」をもたらし、14年まで巨人のOB会長を務めた世界の本塁打王。ソフトバンク球団会長として球界の第一線に立ち続ける中で、巨人のイベントで熱弁する機会は多くはない。異例の生メッセージには、巨人が常勝軍団であってほしいとの思いがある。「今年はリーグで4年ぶりに勝って(優勝して)すごく喜ぶべきだと思います。選手たちも自信がついたと思う。でもシリーズの(CS敗退で日本シリーズ進出を逃した)ことはまた次の課題として、受け止めてもらえるといい」と前向きに語った。 阿部監督就任1年目の今季の巨人は、チーム防御率リーグ1位の2・49、失策数はリーグ最少の58と、守り勝つ野球でセ・リーグの頂点に立った。王さんも「野球は投手だなと改めて感じております。それから守備。原点って言いますかね。バット(打撃)っていうのは派手なんですけど、なかなか思う通りにはいきませんので。頭の中にそういうものを入れておくことが大事」と、細かい野球にさらなる磨きをかけることに期待した。 今季はセ・リーグ3位のDeNAが、ソフトバンクとの日本シリーズを制して日本一にのぼりつめた。あいさつの結びで王さんは「来年はジャイアンツとホークスで決戦しましょう」と号令を発した。その後にあいさつした阿部監督は「悔しい思いをした本年度を糧にして、ジャイアンツはやっぱり日本一になってこそ、初めて評価されると僕も思っております」と受け止め、大先輩の前で来季の13年ぶり日本一を誓った。(片岡 優帆) 〇…山口オーナーが冒頭に「何が何でも日本一ということで、頑張っていきたいと思います」とあいさつし、13年ぶりの日本一への思いをOBと共有した。今季はDeNAが日本一。CS最終ステージで戦い、惜しくも日本シリーズへの道を閉ざされただけに「悔しさがかえって倍加したように思っております」と率直な思いを口にした。 巨人・中畑OB会長「ここに来て野球界が一段と高い視聴率を残しました。最近ではない数字です。それだけ注目を浴びている球団なんだなと改めてジャイアンツの皆さん、感じてください。注目を浴びている球団の責任は、勝たなきゃいけないということだと思います」 ◇巨人OB会総会・懇親会の主な出席者 王貞治、中畑清、吉田孝司、高田繁、原辰徳、江川卓、城之内邦雄、岡崎郁、斎藤雅樹、吉村禎章、江藤省三、石毛博史、阿野鉱二、角盈男、前田幸長、河埜和正、宮本和知、村田真一、仁志敏久、清水隆行、岡島秀樹、野村克則、高橋由伸、阿部慎之助、二岡智宏、村田善則、内海哲也、実松一成、矢野謙次、駒田徳広、脇谷亮太、金城龍彦、立岡宗一郎、松本哲也(順不同、敬称略)
報知新聞社